社労士モリの映画あれこれ
「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」(2022年:アメリカ)

森 𠮷隆

その他

長いタイトルですが(笑)、訳すると「何でも何処でもいっぺんに」。
本年度アカデミー賞最多10部門11ノミネート、作品賞他部門でも大本命とされていますが、鑑賞後、この作品が本命?と正直驚きました。とはいってもつまらなかった訳ではなく、むしろ楽しみましたが、過去のアカデミー賞作と比べると、マニアック的傾向が強いこの作品がこれほど多くの支持を得たとは…。

主人公は中国系アメリカ人の中年女性。経営するコインランドリーは破綻寸前、老いた父を抱え、夫、娘とも不仲で家庭も崩壊寸前のどん底生活。そんな中、突然表情が豹変した夫から「僕は別の世界から来た「僕」だ。今宇宙で起きている悪の危機から救ってほしい」と告げられます。どうやら今生きている世界とは別の世界が幾つもあり、そこにもそれぞれの自分が異なった人生を送っている、いわゆるマルチバース(並行世界)が存在し、別世界の夫が現世の夫にアクセスしてきたのです。そこで彼女も様々な異次元の自分に乗り移る事で、多くの技を会得し、戦いに挑みます…。
劇中SF、カンフーアクション、コメディ、哲学、過去の映画のオマージュ等様々なものがびっしり詰め込まれ、おまけに下ネタあり、おバカなシーンあり、ある意味作り手のやりたい放題の荒唐無稽な世界観が横溢し、目まぐるしいスピードで展開します。。

 

※以下、重要なネタバレがあります。

 

 

 

 

 

 

 

しかし全編を覆うハチャメチャ感がありながら、テーマはシリアスで身近なものである事に後半気づきます。
「もしあの時、あの選択をしていたら私の人生はもっと良い方に変わっていたかも…」。タラレバとはいえ、誰もが持つ願望を鋭く突き、それに大風呂敷を広げた展開に最後は家族愛を強調し、戦いで解決する事を避け、「優しさ」をもって物語を収束させるあたりは、現在のきな臭い世界情勢への異議にも感じ、実際、高評価の理由はこのあたりあるのかも。

作品を気に入れば何回も鑑賞し、複雑な展開を読み解く魅力にハマる人もいれば、一方、悪ノリ感と急展開についていけず、置いてけぼりを喰らうかも。クセの強い作品だけに、アカデミー賞でどこまで結果を残すのか、興味深くあります。

筆者略歴:森 吉隆(労務コンサル課)特定社会保険労務士。 「WOWOW映画王選手権」2001年、2002年本戦連続優勝、2011年本選準決勝進出、2013年本戦準々決勝進出。2012年「スカパー!映画クイズ選手権」本選優勝。映画検定1級(2014年は首席合格)。

労務コンサル課 森吉隆

著者紹介

森 𠮷隆
人事コンサルティング部 労務コンサル課 シニアコンサルタント
(特定社会保険労務士)

「WOWOW映画王選手権」2001年、2002年本戦連続優勝、2011年本選準決勝進出、2013年本戦準々決勝進出。2012年「スカパー!映画クイズ選手権」本選優勝。映画検定1級(2014年は首席合格)。

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