社労士モリの映画あれこれ
「AIR/エア」(2023年:アメリカ)
森 𠮷隆
その他マッド・デイモンとベン・アフレックといえば、「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」(1997年:アメリカ)でブレイク、今回も「最後の決闘裁判」(2021年:アメリカ)以来の再共演の上、べンが監督。共同で製作会社を設立し、今も盟友関係が続いている彼らが選んだ題材が実話を元にしたこの作品。
舞台は1984年。バスケットシューズ部門の売上や評判で、コンバースやアディダスに大きく後塵を拝するナイキ社。ベン扮する社長は、マット扮する主人公に立て直しを命じるのですが、主人公がイメージキャラクターとして目を付けたのはプロデビュー前でまだ実績のない新人選手マイケル・ジョーダンだった…。
後に超有名スターとなり、彼の名を冠し大ヒットしたシューズ「エア ジョーダン」がいかにして誕生したか、まさに「プロジェクトⅩ」的展開でビジネスサクセス物ではあるのですが、この作品の特長は製品の開発のエピソードには殆んど描かれず、いかにしてナイキ嫌いの彼から専属契約を勝ち取るか、その1点のみに焦点を当てて描かれます。
そのそぎ落としたストーリーラインが映画にテンポとスピード感を生み出し、登場人物達の丁々発止、口八丁手八丁のやりとりが緊張感を生みながらも、彼らが必死であるが故に生まれるユーモアも。特にジョーダンの母親の、賢明で家族を愛するが故、威厳を保つ一方、したたかさも備えた存在感がこの作品の大きな核となっていて、彼女との駆け引きを通じて、当時としては前例を見ない突飛な契約を成立(現在では当たり前になっていますが)させる辺り、結果は判っていても非常にスリリングに描かれています。
劇中、当時の流行した映画や音楽が盛り沢山インサートされ、当時高校生だった筆者自身も懐かしさもひとしお。ベンやマットも50歳代。この世代には、やはり多感な時を過した時代として、思い入れがあるのかもしれません。
著者紹介
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人事コンサルティング部 労務コンサル課 シニアコンサルタント
(特定社会保険労務士)
「WOWOW映画王選手権」2001年、2002年本戦連続優勝、2011年本選準決勝進出、2013年本戦準々決勝進出。2012年「スカパー!映画クイズ選手権」本選優勝。映画検定1級(2014年は首席合格)。
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