コラム de スタディ

2021.09.28.NEW
【医療介護あれこれ】「呉ただいまを叶えるネットワーク」に参加して

8月最後の土曜日、zoomにて「呉ただいまを叶えるネットワーク」の研修会が行われました。昨年10月から在宅医療を本格的に開始された先生の一年間を振り返り、気付いたこと、大切にしていきたいこと、など、「医師」の立場から、在宅での多職種の連携について、基調講演があり、その後、小グループに分かれて意見交換が行われました。
とても気付きが多い研修会でしたので、皆さんにも共有したいと思います。

【家に帰れるかもしれない・・・であれば、家でいいんじゃないですか?】
私が病院勤務をしているときに、救急車で搬送され、点滴加療、処置や手術後に「退院」を希望される患者さんや、末期の悪性腫瘍で、激しい疼痛にさいなまれ、「家に帰りたい」と希望する患者さんが家族の「不安」「仕事」等の理由で退院できず、だんだん元気をなくしていかれる様子を目の当たりにしてきました。
私自身、高齢の両親を抱え、この先どうなっていくのかになることがあり、ご家族の「何か異変があった時にどうしたらいいかわからない」というお気持ちはよくわかります。

有料老人ホームを立ち上げたときに、介護職から「夜が怖い」「入居者の急変が不安」という声も聴きました。病院が運営し医療度の高い方が入居されていたので、無理はないと思いますが、プロの介護職でも怖いのです。ご家族が不安でないはずはありません。

そんな時、「家に帰りたい?だったら帰りましょう」
「家でいいんじゃないですか?私たちがサポートしますよ」
「何かあったら連絡ください。一緒に頑張りましょう」
という言葉があったら、どんなにありがたいでしょうか?

【病院の医療と在宅医療は違う】
病院で提供する医療と、在宅でできる医療は違う。このことは医療職・介護職でなくても、何となく肌で感じていることだと思います。
診療報酬改定でも、「治す医療から、支える医療へ」というキーワードが出てきていましたが、まさしく立場や視点の違いを表していると思います。
この違いをしっかり認識しておくことが大事なのではないかと思います。

・病院(医療機関)は、「病気」を診ている
・介護(在宅)では、患者さんの「生活」をみている

つまり、医療と介護では視点が違う、見えている景色が違い、この視点の違いが「壁」を作り、「多職種連携の課題」を大きくしているように思います。

【生活を診る、とはどういうことか?】
「支える医療」の中では、この「生活を診る」ということが大事なのだと思います。
例えば困った症例を考えてみてください。
・家が散らかっている ・・・掃除ができなくなってきているかも?
・流し台に洗い物がそのまま ・・・ちゃんと食べているのかしら?
・お薬 ・・・しっかり飲めていないかも?
・ベッドがそのまま ・・・一日のほとんどを寝ているかも?
・今日も同じ服、寝間着のまま    ・・・活動性が落ち、意欲がなくなっているかも?

これらのことは「外来診療」ではなかなか気付けないことだと思いますし、日常化している家族でも「そんなものだ」という認識になってきて、気付きが遅れる場合もあるでしょう。

「生活」の中へ医療職が入っていくことにより、気付くことも多いと思いますが、それ以上に立場が違う「介護職」の方は、こういった観察眼をもって、小さな異変を察知されることもあると思います。きっとご家族からの相談も多いのでは・・・?
そんな時にちょっと相談できる先、それが多職種連携の良いところだと思います。

【在宅は「諦め」の言葉ではありません】
基調講演で伊達先生が仰った言葉ですが、生活の中で、その人らしく生ききる。そこを病院以上に追求しているからこそ出てきた言葉ではないかと思います。

病院と同じ治療はできないかもしれないけれど、その方の生活を重視し、高めていくことを考えれば、より難しいチャレンジになり、一人では到底できない・・・介護の方々はそういう寄り添い方ができ、医療者ができないこともやれる。と、リスペクトされ、信頼されている様子が感じられました。

人生を最期まで生ききるための、伴走者。専門性を活かしつつ、多職種で支えていくということだと理解しました。こうなると、日常的により良いチームをどう作っていくか、ということがポイントになりますね。

【多職種協働において大事なこと】
これは多職種協働だけではなく、連携やTeam医療の中で大事なことだと思います。
(医療機関に限ったことではなく、我々の仕事の中でも関係してきますが・・・)
伊達先生は、「在宅医療をやってみて、とても大事なことが四つある。
「信頼関係」「リスペクト」「コミュニケーション」「フレンドリー」だ」といわれました。
これは伊達先生が現在大切にされていることだそうです。

医療と介護、双方に見える景色が違っているからこそ、お互いにリスペクトし協働できるでしょうし、フレンドリーな関係を構築して初めて効果的なコミュニケーションや情報共有ができるのではないか、とお話を聞きながら感じておりました。

【おわりに~地域医療構想の中で思うこと~】
地域医療構想は、少子高齢化社会の中で、地域生活を担保するための「医療機能を考える」ということです。限られた資源の中で、安心・安全の暮らしを担保し、暮らし続けるために、何ができるのか・・・それぞれの専門性に応じた役割を考え、繋がっていくことが大事だなあと、改めて感じています。その中で、中心にいるのは、だれか、ということを常に意識し、専門家としてかかわっていくことが必要になってきますね。

そして、専門性が違えば、その方の価値観も違うので、「普通はこうでしょ」という「ふつう」が違ってくることもあります。例えば、医師の「ふつう」と、看護師の「ふつう」、介護職の「ふつう」は違うでしょうし、そのことを理解していなければ、お互いに話がかみ合わず、ぎすぎすした関係になってしまいます。
お互いにリスペクトし、信頼関係が構築できていれば、「どうしてそう考えるの?」ということを聴くこともできるでしょう。
その「ふつう」と思っている事柄の違いを確認することもできますよね。

私自身、地域医療の中に入り込み、直接的に関与していくことは仕事柄難しいかもしれません。しかし、私自身の体験を含め、また、各地の取り組みや研修会でのお話内容など、心に響いたこと、共有したいことを発信し、繋いでいくことはできると思っています。
皆さんの地域ではどうでしょうか?
もしも、上手くいっていないなあ、課題があるなあ、とお感じになっておられる方がおられましたら、勇気を出して、地域の医療職・介護職の方に声をかけてみませんか?

医業コンサル課

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