コラム de スタディ

2021.08.11.
社労士モリの映画あれこれ~「少年の君」(2020:中国・香港合作)~

冒頭に「この映画がいじめ抑止に役立つ事を願う~」のテロップ(しかもラストのクレジットにも、中国のいじめ防止施策の紹介のテロップが…。)、その時は何だか説教臭く、押し付けがましいプロパガンダ映画かと身構えましたが、いい意味でその予想は覆され、観客の心に深く切り込むような、繊細でありながら鋭く、力強い表現にすっかり魅了されました。

冒頭、いじめを受けていた女学生の進学校での飛身自殺から始まります。彼女の死によって、次にいじめの標的は同じクラスメートだった主人公へ。貧困な母子家庭で、一流大学に合格することで今のどん底から抜け出そうと、彼女は猛勉強しつつ、執拗ないやがらせに耐えます。そんな時、ある不良青年に出会います。未来に望みを託す優秀な女学生と、親や社会から見捨てられ自暴自棄のチンピラ男、対照的な2人ですが、お互いの孤独が共鳴し合い…。

「いじめ」と同様に、激しく描かれるのは「受験戦争」。これらの描写は時として、観ている側もつらくなるようなシーンもあり、それ以外でも中国の様々な問題を赤裸々に描写しているという点において、検閲があるこの国では、最初に述べたテロップが国への忖度として必要だったのかと邪推してしまいます。
とはいっても後半のサスペンスフルな展開や、主人公達のプラトニックな関係は、「ボーイ・ミーツ・ガール」的青春ドラマを踏襲、これらを巧みに社会問題に溶け込ませ、エンタメ要素のある作品としても成立させています。
主人公を演じた2人の演技も印象的で、全編痛々しく、殆んど絶望的展開が続く中、クライマックスのお互いの愛情故に生じるやりとりと表情は、限りない哀切感を醸しながら、希望の光を差し込ませるかのような、情感豊かな素晴らしい場面として、心に響きました。

筆者略歴:特定社会保険労務士。 「WOWOW映画王選手権」2001年、2002年本戦連続優勝、2011年本選準決勝進出、2013年本戦準々決勝進出。2012年「スカパー!映画クイズ選手権」本選優勝。映画検定1級(2014年は首席合格)。

労務コンサル課

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