【医療介護あれこれ】医療事務基礎講座「外来管理加算について」
石井 洋
アドバイザリー診療報酬は、基本診療料+特掲診療料で成り立っているというお話をいたしました。
基本診療料は「初診料」「再診料」「入院料」等の基本的な報酬であるというお話でしたね。
また、診療報酬は、実際に行った医療行為の手技料と薬剤料や材料費を積み上げていったものであるということをご説明しましたね。
ところが、診療報酬の中には、いくつか、具体的な治療をせずに、患者さんと話をしたり、説明をしたり、して医療管理を行うことにより算定ができるものがあります。
そのひとつが「外来管理加算」というものになります。
とても不思議な診療報酬ですが、外来医療においては大事な加算ですので、この内容を見ておきましょう。
【外来管理加算とは】
外来管理加算とは、処置、リハビリテーション等を行わずに計画的な医学管理を行った場合に算定できるとされています。
【算定要件】
再診料の注8に、その文章はあるのですが、
入院中の患者以外の患者に対して(これは外来患者のことですね)
① 慢性疼痛疾患管理
② 別に厚生労働大臣が定める検査(告示3台3.4(1))
⇒超音波検査等、脳波検査等、神経・筋検査、耳鼻咽喉科学的検査、眼科的検査、負荷試験等、ラジオアイソトープを用いた諸検査、内視鏡検査
③ 第7部リハビリテーション
④ 第8部精神科専門療法
⑤ 第9部処置
⑥ 第10部手術
⑦ 第11部麻酔
⑧ 第12部放射線治療
を行わないものとして、
別に厚生労働大臣が定める計画的な医学管理(告示3第3.4(2))を行った場合は外来管理加算として52点を加算する。
・・・と定められています。
つまり、上記①~⑧に該当しない場合に、厚生労働大臣が定める計画的な医学管理を行うと算定ができるという、なんともユニークな点数です。
そこで、この「告示3第3.4(2)に掲げられている場合」がどういうものか見ていきましょう。
【厚生労働大臣が定める計画的な医学管理(告示3第3.4(2))とは?】
これは簡単に言うと、医師の丁寧な問診と詳細な身体観察(視診、聴診、打診及び触診等)を行い、診療を行うこととなります。
つまり、それらの結果を踏まえて患者に対して症状の再確認を行いつつ、病状や療養上の注意点等を懇切丁寧に説明するとともに、患者の療養上の疑問や不安を解消するための取り組みを評価するもの、とされています。
【提供される診療内容の事例】
具体的な事例が示されています。
1.問診し、患者の訴えを総括する。
2.身体診察により得られた所見及びその所見に基づく医学的判断等の説明を行う。
3.これまでの治療経過を踏まえた療養上の注意等の説明・指導を行う。
4.患者の潜在的な疑問や不安等をくみ取る取り組みを行う。
【カルテの記載】
上記診察内容の要点を記載するものとされています。
つまり、記録でよく言われているところのSOAPを意識して記録することになります。
S.主観的情報・・・患者の訴えを聴きとる
O.客観的情報・・・先生の診察所見
A.アセスメント・・・所見に基づく医学的判断、思考過程のまとめ
P.計画・・・具体的な指示や注意事項、指導など
この内容に加えて、
「何かほかにお聞きになりたいことはありませんか」「何かご心配なことはありませんか」と質問をして、その質問内容と回答を書く。ということになります。
【よくある質問】
■電話再診のときには算定できますか?
⇒「医師による直接の診察」に該当しないため、外来管理加算の算定はできません。遠隔診療、処方のみ希望で家族に会う場合に関しても同様となります。
■往診の場合にも算定は可能でしょうか?
⇒算定の要件を満たせば算定することができます。
■5分以上の診療時間が必要だと聞いたことがありますので算定し辛いのですが・・・
⇒5分ルールは廃止されています。但し、上記のように「患者の主訴」「医師の診察所見」「医学的判断」や「指導等」を行う必要がありますので、その実施した内容はカルテに記録しておく必要があります。算定の根拠となりますので、重要です。
■家族からの聴きとりで算定することは可能でしょうか?
⇒認知症や小児の場合など、本人が回答できない状況がある場合など、付き添いの家族から、患者本人の状態等をお聴きして、本人に対して診療を行い、家族等に対して懇切丁寧な指導をした場合は算定できます。
■同日再診の場合に、2回目の診療時にも外来管理加算は算定できますか?
⇒算定の要件を満たしていれば、算定することは可能です。
以上です。具体的に生体検査や処置等を行わない場合に算定できる「外来管理加算」何気なく算定されていると思いますが、このような「ルールがある」ということを知っておくことは必要ですね。
医業経営支援課
著者紹介
- 人事コンサルティング部 部長
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