【令和3年度介護報酬改定】介護人材の確保・介護現場の革新

長 幸美

アドバイザリー

介護サービス事業所の喫緊の課題として、介護人材の確保があげられると思います。
特にコロナ禍において、この人材不足には拍車がかかっているような印象を受けています。
このため、介護職員の処遇改善や職場環境の改善に向けた取り組みの推進や、業務負担の軽減のためにテクノロジーを活用すること、文書作成や手続きの効率化等による介護現場の業務負担の軽減等が考えられています。

【介護職員の処遇改善・職場環境の改善】
この項目の中でいろいろと検討されていますが、私が注目しているのは以下の3点です。
■処遇改善加算
この処遇改善加算の中に、「職場環境要件の見直し」が入ってきました。
つまり、職員の離職防止・定着促進を図る観点から、キャリアアップや両立支援、生産性の向上や仕事へのやりがい・働き外の醸成、に対する取り組みが必要になってきたということです。

■サービス提供体制強化加算
サービスの質向上や職員のキャリアアップを一層推進する観点からの見直しになっています。内容は下記の表をご覧ください。それぞれに上位区分ができています。

サービス提供体制強化加算の見直し
(出典:厚労省「令和3年度介護報酬改定」社保審20210118資料より)

■ハラスメント対策の強化
すべての介護サービス事業所に男女雇用機会均等法等におけるハラスメント対策に関する事業所の責務を踏まえつつハラスメント対策を求めることとされました。これは運営基準の中に規定する必要があります。

【テクノロジーの活用や人員基準・運営基準の緩和等による業務効率化・業務負担軽減】
これは見守り機器等の導入した場合の夜勤職員の配置加算等の見直しや人員配置基準の緩和がうたわれたものです。
その他には会議や多職種連携におけるICTの活用について明確にされていますが、ここで注目していただきたいことは、居宅療養管理指導の中で、薬局の薬剤師が行う場合、情報通信機器を用いた場合が新設されていることです。
その他は配置基準の中で、「計画作成者」や「オペレーター」の配置について基準の緩和(見直し)が行われているというところだと思います。

【文書負担軽減や手続きの効率化等による業務負担軽減】
この内容については、文書が非常に多かった介護保険のルールが大きく変わってきていますので、事業所の皆さんはしっかりと確認をされてください。
■利用者への説明・同意等
ケアプランや重要事項説明書等における、説明・同意について、電磁的記録による対応でもよいものとされました。
公的文書について、押印が不要になったことを受けて、ホテルや保険等の加入等にかかるものと同様にモバイルによる電子的署名を含め検討が可能になったものと思います。

■届け出に関すること
運営規程や重要事項説明書に記載する員数について、「〇〇人以上」の記載を認めること、「従業者の職種、員数及び職務の内容」の変更について、届出は年1回でよいこととされています。但し、その間の員数の確認はしておく必要がありますので、しっかり管理しておきましょう。

■記録の保存に関すること
介護サービス事業所の諸記録の保存交付についても、電磁的な対応が可能となりました。個人情報の取扱いをルール化する必要があります。それぞれの事業所で確認していきましょう。

■運営規定等に関すること
これまで、運営規定等の重要事項については、事業所の掲示が義務付けられていました。今回の改定で、閲覧可能な形(ファイル等)で備えおくこと等も可能となりました。
細かい字で掲示されていましたが、今後はクリアファイルに入れておくことでも可能となります。

詳細な内容は各サービスのルール等も確認が必要ですが、ここでは、大まかな改定の流れや考え方を押さえておきましょう!

医業経営支援課

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