コラム de スタディ

2019.02.22.
成績不良の社員の職掌変更に伴う降格・降給等

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今回の判例は、賃金減額を伴う降格・配置転換命令・懲戒解雇等の処分が無効であるとして雇用契約上の地位の確認と賃金・賞与の支払を求めたが、懲戒解雇等の処分は有効とされた事案です。

 

■R社地位確認等請求事件 東京地裁 平成29年2月23日判決

 

【事件の概要】

コンサルティング会社であるR社(以下、「会社」)の人事賃金制度は、職掌ごとの給与テーブルにおいて各ランク・職号に応じた基本給の具体的金額を定めていた。また、就業規則には「従業員の給与、任免、昇進、降職、異動、懲戒、その他人事一般は、所定の手続きを経て会社がこれを決定する」旨が規定さて、給与規程には、「従業員の給与は、主としてその職務・能力および業績に応じてここに決定し、支払われる」「月額基本給は原則として毎年4月に見直しを行う」と規定され、給与規程には「基本給は、職掌、能力、ランクおよび勤務成績を勘案して決定する」との規定があった。そして、上司・協業する同僚を評価者とする業務評価が年2回行われ、当該業績評価の結果により毎年4月に月額基本給の額が見直された。

社員Iは、平成24年5月に中途採用された時には、コンサルティングを行う部門に配属され、コンサルティングとして業務に従事したが、同年度の業績評価は、上期も下期もいずれも最下位であった。また、採用直後3ヶ月はグループに所属したが上司・同僚との折り合いが悪く、3ヶ月後にはグループを離れ代表者が直接指導することになったが、指導に従う姿勢がなく業績も挙がらなかった。このため、会社は同25年4月、Iのランク・職号を降格した上で、基本給を67万7000円から63万7000円に減額した。その後、会社は、同年5月コンサルティング部門から企画部門に配置転換し、並行して退職勧奨も行ったが応じず、また上司の指示にも従わなかった。

さらに、同年9月に譴責処分となり、それを受け、職号をフロント職からゼネラルスタッフ職に変更し、基本給40万7000円とするとともに、激変緩和措置として特別手当19万3000円を支給した。

その後においても、

同年12月に1週間の出勤停止処分(専門業務型裁量労働制の適用が外され通常の勤務時間になっていたにもかかわらず遅刻を繰り返した、教務に関する研修・ミーティングに無断欠席をした、上司である部長の質問・指示メールに応答せず等の8事由による)

同26年3月に諭旨解雇処分(上記譴責処分・出勤停止処分、後におけるミーティングに無断欠席をした、遅刻、上司である部長からの質問等の無視、産業医の受診命令の無視等10事由による)

同年4月に懲戒解雇処分(諭旨解雇処分の条件である退職届を提出しなかったことによる)の各懲戒処分を受けた。

 

【判断】

①    賃金減額について

本件4月1日付け賃金減額については、上記の会社の就業規則等によれば、基本給は職掌・ランクと能力・業績に応じて決定され、原則として毎年4月に見直しされることとされており、合理的に解釈すれば降格及び降給も含めて見直しができる。Iは前年度の業績評価により能力・業績が最下位であったことから、当該減額は適法かつ有効である。

 

② 配置転換について

Iをコンサルティングに職種を限定して採用した事実はなく、また、配置転換の必要性も理由の合理性も認められることから、適法かつ有効である。

 

□ まとめ

本件における譴責処分、出勤停止処分、諭旨解雇処分はいずれも有効であり、懲戒解雇処分も懲戒解雇事由、客観的合理的理由及び相当性が認められる。

 

【ポイント】

 今回は、Iの業績の低さや勤務態度が著しく不良であること、そのような状況を踏まえて、懲戒処分を複数回行ったにもかかわらず、態度を改めようとする姿勢が見られなかったことで、本件の懲戒解雇に客観的合理的な理由があり、社会通念上の相当性も認められました。

 解雇事案の場合は、このように、懲戒解雇前に指導や教育を繰り返し行うことが大切です。

この過程を経ずにいきなり解雇してしまうと、事業所側が不利になる可能性が高まりますので、慎重に判断しましょう。

 

人事労務課

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