暑い季節こそ“心くばり”を大切に ~夏のクリニック接遇のポイント~

長 幸美

医療介護あれこれ

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梅雨明けとともに一気に暑さが増し、クリニックに訪れる患者さんの表情にも疲れや不快感が見え始める季節となりました。体調が優れない中、強い日差しや高温多湿のなかで受診するのは、誰にとっても負担が大きいものです。

そんなときこそ、私たち医療スタッフの「ひとこと」や「ちょっとした気づかい」が、患者さんにとって大きな安心や癒しになります。今回は、暑い季節に気を付けたいクリニックでの接遇ポイントをご紹介します。

来院時の第一声に「気温」への共感を

受付や玄関での第一印象はとても大切です。

  「暑い中、お越しいただきありがとうございます」
  「今日は本当に暑いですね。お変わりありませんか?」

そんな一言があるだけで、患者さんの緊張や疲労感が和らぎます。
「大変だった」という思いを受け止めてもらえることは、それだけでホッとするものです。

空調・待合環境への気くばり

室温は患者さんの年齢や体調に応じて「快適」と感じる温度が異なります。

高齢の方や汗をかきにくい方には、冷えすぎが負担になる場合もあります。
空調の直風が座席に当たっていないか、冷房の風が下を向いていないことを、定期的に確認しましょう。サーキュレーターなどで、空気を循環させるのも、良いのではないかと思います。

また、先日伺った医療機関では、冷房が苦手な方向けに、ひざ掛けを準備されていました。
待っている間に、寝てしまった子供さんにとっても、冷房が苦手で寒がりなお年寄りにとっても、うれしいサービスですよね。

待合室には、冷たいおしぼりやうちわ・扇子、冷水ポットなど、季節に応じたサービスを設けると好印象につながります。

待ち時間への配慮と言葉がけ

暑い中での長時間の待機は、患者さんにとって大きなストレスです。

「現在〇番の方までご案内しています」など、状況が見える工夫をするのもよいのではないかと思います。また、遅延がある場合は、「お待たせして申し訳ありません。~~のため少し診療が長引いているようです。ご気分大丈夫でしょうか」と一声かけるだけで印象が変わります。

夏ならではの衛生・清潔感の工夫

汗や湿気の多い時期は、院内の「におい」や「湿度」なども気になります。玄関マットやスリッパの清掃・消毒をこまめに行いましょう。

消臭効果のあるアロマや涼しげな香りも季節感を演出します。

スタッフ自身も“夏らしい笑顔”を意識して

暑さで余裕がなくなるのは、スタッフも同じです。
こんな時、スタッフが眉間にしわを寄せていては、暑さも倍増すると感じませんか?
患者さんにとっては「いつもの笑顔」と「穏やかな声」が安心の源です。

忙しい中でも「挨拶」「表情」「声のトーン」に注意しましょう。
スタッフ同士もこまめに水分補給をしながら、良好なチームワークで夏を乗り越えましょう。

まとめ:暑さのなかにも“涼”を届ける接遇を

クリニックは、患者さんが安心して過ごしていただける場所でありたいものです。
暑さや不快感を少しでも和らげるための「気づき」や「やさしい言葉」が、患者さんの心を癒す大きな力になります。

この夏も、心地よい空間と接遇で、「ここに来てよかった」「あなたと話をしているとなんだか元気になるよ!」と思っていただけるクリニックづくりを目指しましょう。

著者紹介

長 幸美
医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント

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