職場におけるパワーハラスメント対策の重要性について 

石井 洋

人事労務

厚生労働省から令和5年6月30日に「令和4年度個別労働紛争解決制度の施工状況」が発表されました。 

内容 件数 前年度比 
総合労働相談 124万8,368件 0.5%増 
 内訳延べ数 法制度の問い合わせ 86万1,096件 2.6%増 
労基法違反の疑いがあるもの 18万8,515件 10.8%増 
民事上の個別労働紛争相談件数 27万2,185件 4.2%減 
助言・指導申し出 7,987件 5.9%減 
あっせん申請 3,492件 7.1%減 
参照:令和5年6月30日(金)厚生労働省発表「令和4年度個別労働紛争解決制度の施行状況」より

※個別労働紛争解決制度は、総合労働相談(各都道府県労働局、労働基準監督署内等の総合労働相談コーナーに設置)、都道府県労働局長による助言・指導、紛争調整委員会によるあっせんの3つがある。 

この民事上の個別労働紛争相談における相談件数、助言・指導の申出件数、あっせんの申請件数の全項目でパワーハラスメントとの関連性が推測される「いじめ・嫌がらせ」の件数が最多となっています。(全体の22.1%) 

また、総合労働相談の件数は、令和4年度も令和2年に次いで相談件数としては高い数字で推移しています。以前パワーハラスメント対策を明確化した改正法が施行された旨はご案内しましたが、中小企業の事業主にも令和4年4月1日からパワーハラスメント防止措置が義務化されています。このパワーハラスメントを防止するために企業が講ずるべき措置の内容は以下の通りです。 

  1. 事業主の方針等の明確化及び周知・啓発 
  1. 相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備 
  1. 職場におけるパワハラに関する事後の迅速かつ適切な対応 
  1. 併せて講ずべき措置(相談者・行為者等のプライバシー確保、相談した事を理由とした不利益取り扱いの禁止、その周知と啓発) 

 パワーハラスメントは就業環境を著しく害するもので、従業員の心身の健康を害し、それを見ていた他の従業員への心理的影響等も懸念される極めて重大な問題です。近時は、ソーシャルネットワークの発達により、パワーハラスメントが生じた場合の会社側のリスクは以前と比較にならないほど増していると言えます。まずは、事前に防止できるよう、最大限防止の努力をしていくこと、また発生した場合も最小限で解決できるよう、速やかな対応を行っていく必要があります。 

 佐々木総研では、管理職の方々向けにハラスメント研修の実施も行っています。医療機関におけるハラスメント研修の実績も豊富にありますので、お困りの際はお声掛けくださいませ。 

2023年11月10日

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