社労士モリの映画あれこれ
「エクソシスト/ディレクターズ・カット版」(1973年:アメリカ) 

森 𠮷隆

その他

 いわずと知れたオカルトホラー映画の金字塔。当時単なるB級扱いとしが扱われなかったこのジャンルを、一気にメジャーとしたのもこの作品からでしょう。興行的にも記録的ヒットで、公開時、私は6,7歳で、かなり話題になっていたことはよく覚えていて、その後10代の時に初鑑賞、今回久々に「午前十時の映画祭」で劇場鑑賞しました。 

 12歳の少女が悪魔に取り憑かれ、2人の神父の悪魔祓いを始まるが…。当時話題となったのは少女の恐ろしい変容。外国で失神する観客が続出し、中には訴訟問題にもなったとか。特殊メイクを駆使したホラーシーンが強烈で、私も初見時、その過激なシーンに目を奪われていたのですが、今回鑑賞して、その時とはやや異なる感想を持ちました。 

 確かにクライマックスの悪魔VS悪魔祓い師(エクソシスト)は、恐怖の見せ場の連続で震え上がりますが、今回印象的だったのは、神父でありながら神の存在に疑問を持つ男の罪悪感と苦悩が繊細に描かれている事。一見少女が主人公に見えるのですが、実は真の主役はこの男ではないかと。そして人間の弱さにつけ込んでくる悪魔の存在とは。実際本当に悪魔が憑依したのか、映画は所々に疑問符を投げかけるようなシーンもあったりして、一辺倒に悪魔の存在を肯定している映画ではないのでは、とも感じました。それだけに「悪魔とは一体何か」と、様々な解釈を観客が考察できる映画とも言えます。 

 この映画は宗教や信仰が根底にあって、その辺りに疎い私はこの映画を興味深く感じながらも、その本質を果たして理解できているかどうか。キリスト教等に深い造詣のある方や信仰心の強い方が鑑賞するほうが、よりリアルに、恐ろしく感じられるのかもしれません。 

著者紹介

森 𠮷隆
人事コンサルティング部 労務コンサル課 シニアコンサルタント
(特定社会保険労務士)

「WOWOW映画王選手権」2001年、2002年本戦連続優勝、2011年本選準決勝進出、2013年本戦準々決勝進出。2012年「スカパー!映画クイズ選手権」本選優勝。映画検定1級(2014年は首席合格)。

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