5月8日以降の新型コロナウイルス感染症の取扱いについて①外来

長 幸美

医業経営支援

新型コロナウイルス感染症は令和5年5月8日から感染法上の位置づけが「五類感染症」に変更になります。また、令和6年4月の診療報酬・介護報酬同時改定に向けて、新たな診療報酬体系として見直しされることとなりました。今回はその内容について、見ていきましょう!

■これまでの新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の医療提供について
「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法律第114号、以下「感染症法」という)」上の位置づけにより、「指定感染症」の扱いになっていました。
このため、医療提供体制は入院措置を原則とした行政の関与を前提に、限られた医療機関による特別な対応を必要とされていました。治療は措置という考え方になり、基本「公費助成」が受けられ、治療も限られた医療機関に限定されるような医療提供体制がとられていたのです。

しかし今回、令和5年3月10日の新型コロナウイルス感染症対策本部等の議論により、感染症法上の位置づけを変更し、「五類感染症」になることと発表されました。

■五類感染症とは・・・
感染症法のなかでは指定感染症と病原体の危険度に応じて一類から五類に分類されています。今回「五類感染症」となるのですが、これは、インフルエンザや梅毒と同等の扱いになります。
つまり、限られた医療機関の特別の対応を必要とせず、幅広い医療機関による自律的な通常の対応(診療)に移行していくことになります。

また、これまでは、検査や治療において、公費負担でしたが、五類では公費負担がなくなりますので、医療費については急激な負担増になることも問題視されています。

■位置づけ変更に伴う医療機関体制の見直し
5月8日に向けて、特別対応から通常対応への考え方の転換が求められています。
具体的には、幅広い医療機関において、患者が受診できる体制構築に向けて感染対策や準備を講じることが求められており、今後、冬の感染拡大に先立って現在の1.5倍の医療機関で受診の受入れができるように準備をすることとされています。

また当面は「暫定的な診療報酬措置」を継続しつつ、来年令和6年4月の診療報酬・介護報酬同時改定に向けて新たな診療報酬体系を構築していくことが発表されています、
この中で、「応召義務」の整理として、コロナへの罹患者又はその疑いのみを理由とした診療拒否は「正当な事由に該当しない」ことを明確化する一方で、設備整備や個人防護具の確保等の支援については検討していく、とされています。

■診療報酬における特例措置の見直し
現在、発熱外来においては、トリアージ加算(300点)の算定が認められ、発熱外来の標榜及び公表が要件ですし、二類感染症(250点⇒3月は147点)の算定が可能になっています。
しかし、5月8日以降は、トリアージ加算が見直され、二類感染症の算定は廃止されます。

院内トリアージ加算(300点)が、
対応医療機関において受入れ患者を限定しない場合は、300点
①に該当せずに院内感染対策を実施した場合は、147点
の算定に分かれるようです。

以下の図をご参照ください。

(出典:厚労省「新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけの変更に伴う医療提供体制及び公費支援の見直し等について(情報提供)(別紙2)より_令和5年3月10日発出)(令和5年3月15日確認)

また、治療を実施した場合の救急医療管理加算(950点)についても、考え方が変わり、
① 初診含めコロナ患者への療養指導 147点
⇒これは家庭内感染防止や重症化した場合の対応等の指導が含まれるようです。
コロナ患者の入院調整を行った場合 950点

さらに、在宅においては、緊急往診時の救急医療管理加算(3倍)2850点だったものが、
緊急往診の場合950点(ただし、介護保険施設等への緊急往診に限り2850点)
② 介護保険施設等において看護職員とともに施設入居者に対しオンライン診療を実施する場合950点
③ コロナ疑い・確定患者への往診時は引き続き300点(トリアージ加算)が算定可能
と整理されています。介護施設での感染症対応について、これまでのように医療機関へ入院させるのではなく、できる限り施設内での対応を求められているのでしょう。

医療体制の状況を検証しながら今後については検討していくとされていますし、次期改定においては恒常的な感染症対策への見直しが図られる予定となっているようです。

■患者等に対する公費支援の取扱い
外来診療については急激な負担増を避けるために公費支援を一定期間継続することとされています。まずは9月末まで措置し、それ以降は検討することとされています。
それとともに、フォローアップセンターや宿泊療養施設についても、救急・外来・病床への影響を緩和する目的で、期限を区切って継続することとされており、5月8日以降の公費負担についても、注意が必要です。

詳細は、厚労省の事務連絡資料をご覧いただきたいと思います。

<参考資料 /厚労省ホームページ令和5年3月15日確認>
〇厚労省:令和5年3月10日発出
令和5年度の病床確保料の取扱いについて
https://www.mhlw.go.jp/content/001070741.pdf

事務連絡「新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけの変更に伴う医療提供体制及び公費支援の見直し等について(情報提供)」
https://www.mhlw.go.jp/content/001070762.pdf

別紙1:新型コロナウイルス感染症対策本部決定資料
https://www.mhlw.go.jp/content/001070768.pdf

別紙2:スライド参考資料
https://www.mhlw.go.jp/content/001070769.pdf

医業コンサル課 長幸美

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