【医業介護あれこれ】地域包括ケアシステムを支える調剤薬局の役割②~役割の変化~

長 幸美

アドバイザリー

令和4年度の診療報酬改定は調剤薬局の皆様にとっても、正念場・・・非常に大きな改定だったと思います。そこで、今回は、2025年に向けて、薬剤師さんの役割や業務内容についてどのような議論がなされているか、「薬剤師の育成及び資質向上等に関する検討会」の資料より、読み解いていく二回目となります。
前回は、この見直しの背景を見てきました。今回は具体的な議論の内容を見ていきます。

【対人業務の充実】
このところ改定のたびに「対物業務から対人業務へ」と掲げられてきていますが、どのような解釈をされているでしょうか?
調剤した後のフォローアップについて、ポリファーマシーやセルフケア・セルフメディケーションの支援についてもスキルアップを求められています。これは薬剤師個人というより指示をした医療機関との連携や症例検討等を通して、地域の中での対応を求められています。

その中の一つが「リフィル処方箋」ではないでしょうか?
リフィル処方箋では、医師を通さずに、薬剤を受け取ることができる仕組みですが、想定では同じ薬局で・・・もっと言うとかかりつけ調剤薬局で対応することが求められているように思います。

【対物業務の効率化】
働き手には限度があるのですから、対人業務を充実させていくためには効率化を図る必要があるでしょう。そこで議論されているのが、調剤業務の効率化です。
例えば、薬剤師以外でも実施可能な範囲というのが、示されてきています。いわゆる0402通知といわれるものになります。
また、調剤業務の一部を外部委託することも要件はありますが、検討されています。
もちろん実現するためには、調剤監査などの必要はあるでしょうが、省力化できることは省力化して、「ヒト」でないとできないことに集中していくような仕組みづくりが必要になってきます。

【薬局薬剤師のDX】
薬局薬剤師のためのDXとして考えられている内容で、やはり、データ連携の基盤が重要になってくるのではないかと思います。取り組み内容としては、オンライン資格確認・・・つまりマイナポータルを活用して薬剤情報や特定健診の情報を閲覧できる仕組み・・・これがスタート地点だと考えているようです。また、電子処方箋が令和5年1月からスタートすることとなっていますが、電子処方箋が始まると、調剤薬局への患者さんの流れは大きく変わってくることになるのではないかと考えています。
そして、今回オンライン診療と同様に、オンライン服薬指導についても、解禁といってよいのではないかと思います。これまでは、オンライン診療が前提だったものが、対面診療でも適応範囲が広がったこと、さらには、薬剤の授受と切り離してオンラインの服薬指導ができるようになったことは大きな変化だと思います。
つまりどういうことか・・・配送業者が配達した薬剤について、オンライン服薬指導ができるわけです。しかも、薬局以外にいる場合も可能となりましたので、薬剤師さんのテレワークも進んでくるかもしれません。

セキュリティをはじめ、データの互換性など、様々な課題はあると思いますが、徐々にこのようにデジタル化が進んできているのですから、「よくわからなくて~~」と言ってはいられないようになってきました。

【地域における薬剤師の役割】
いわゆるセルフケア・セルフメディケーションの支援のために何をしてくれますか?ということを問われているように思います。医薬品の供給拠点であるとともに、地域住民への健康をサポートしていくという観点、そして、新興感染症や災害等の有事における対応も含めて、地域で生活しつつ療養されている方について、自治体、医師会、薬剤師会が連携して対応していく必要があるということが議論されています。
人的なリソースは限られています。平時に検討し繋がっていくことにより、有事にも強い体制を構築していくその一員となっていくことが求められていると思います。

地域包括ケアシステムを考えていく中で、ポリファーマシーについては大きな課題として、いろいろな勉強会でも取り上げられています。実はサプリメントも含めてポリファーマシーとして整理が必要な状況もたくさんあるようです。
また、高齢者は徐々に機能が低下し、嚥下が悪くなってきます。そのような時に、薬剤の形態をかえたり、服薬の時間を変えたり・・・様々な工夫が必要になってきます。
そんな時に相談に乗ってもらえる薬剤師さん増えてくるといいなあと思います。皆様の周りではどのような取り組みがされているでしょうか?薬局だけではなく、医療機関の皆さんも、薬剤師さんとつながり、一緒に地域を考えてみてはいかがでしょうか?

<参考資料>
〇第12回薬剤師の養成及び資質向上等に関する検討会_資料(厚労省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_26758.html
〇薬局薬剤師の業務及び薬局の機能に関するワーキンググループまとめ
https://www.mhlw.go.jp/content/11121000/000962947.pdf

医業コンサル課

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