“挨拶”から始まる職場の接遇
長 幸美
医療介護あれこれ本コラムの内容は、執筆時点での法令等に基づいています。また、本記事に関する個別のお問い合わせは承っておりませんのでご了承ください。
最近、こんな声を耳にします。
「新人研修で「おはようございます」から教えなきゃいけないなんて・・・」
「電話の取り方も、一から説明しないときちんと話せないのよ」
確かに、以前なら「社会人ならできて当然」と思われていたことまで、指導が必要となる時代になっています。
しかし、考えてみれば、誰もが最初は「見て覚える」ところからスタートしていたはずです。
今の新人さんはそれを「見る機会」を持てていないだけなのかもしれません。
「教える」より「見せる」
たとえば――
朝、自分から「おはようございます」と声をかける。
そして、帰る職員には「お疲れさまでした」と声をかける。
「ありがとう」「助かりました」と、自然に言葉を掛けあう職場にする。
これらは一見「当たり前」のように見えますが、実は職場の空気をつくるうえで、とても大切な要素です。
新人職員にとっては、どんな言葉が交わされる職場なのかを知る「最初の教材」でもあります。
あるクリニックでのこと。
入職してまだ数日の新人スタッフが、休憩室で小さくつぶやきました。
「皆さん、よく声をかけ合うんですね。なんか安心します。」
そのクリニックでは、スタッフ同士が「お疲れさま」「ありがとう」と声を掛け合うことが日常でした。
その姿を見て、新人も自然に挨拶を返すようになったのです。
「教えなくても伝わる」とは、まさにこういうことです。
患者さんは「職員同士の関係」をよく見ている
実は、こうした職員同士の声かけは、患者さんにも伝わっています。
診察室から戻る看護師に受付スタッフが「お疲れさまです」と声をかける。
手が離せない職員に「私が代わりますね」と自然に言葉が出る。
そんな場面を患者さんは意外とよく見ているものです。
そして、患者さんの多くはこう感じています。
「ここのクリニックは、チームの雰囲気がいい」
「安心して任せられる」
つまり、「スタッフ間のいたわり」はそのまま「患者への安心感」につながるのです。
接遇は、患者対応だけではなく職員同士の関係づくりの中に育つものだと言えるでしょう。
「見せる接遇」が職場を変える
指導する立場になると、「どう教えるか」に目が向きがちですが、
実は「どう見せるか」がいちばん大切になってきます。
・声のトーン
・表情
・立ち止まって挨拶する姿勢
・感謝を言葉にする習慣
これらはすべて、「新人がマネしたくなる行動」です。
マネするというよりも、新人さんはぜひ先輩の様子をよく見て、素敵な対応をマネしていただきたいと思います。そして、そんな姿勢が積み重なると、職場全体が明るくなり、患者さんにとっても「感じの良いクリニック」になります。
おわりに
「挨拶」は、マナーではなく「心のキャッチボール」です。
新人を指導する前に、まずは自分たちがそのボールを自然に、適切に投げ合えているか考えてみましょう。
現状の指導方法はどうでしょうか?今一度新人さんを受け入れる前に、見直しをしてみませんか。
挨拶を見直すこと、それが、どんなマニュアルよりも強いメッセージになるからです。
「指導とは教えるより、見せる」
その挨拶の一言が、職場をもっと温かく、患者さんに信頼される場所に変えていく力を持っています。
心を込めて、笑顔で過ごせるように頑張っていきましょう!
著者紹介
- 医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント
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