【医業介護あれこれ】地域包括ケアシステムを支える調剤薬局の役割①~背景~

長 幸美

アドバイザリー

令和4年度の診療報酬改定は調剤薬局の皆様にとっても、正念場・・・非常に大きな改定だったと思います。そこで、今回は、2025年に向けて、薬剤師さんの役割や業務内容についてどのような議論がなされているか、「薬剤師の育成及び資質向上等に関する検討会」の資料より、読み解いてみたいと思います。

【基本的な考え方】
令和4年2月より、厚労省の中でワーキンググループが開催され、7月に取りまとめが発出された。この背景としては、
① 地域医療を担う一員として、薬剤師の役割や期待が大きくなっていること
② ICT等の技術が発展し、薬剤師を取り巻く環境が変化していること
③ 患者のための薬局ビジョンの達成状況等を踏まえつつ薬局薬剤師の業務について検討すること
とされたことが挙げられます。
① については、対人業務のさらなる充実・・・このためには対物業務について効率化が求められます。
② については、薬局薬剤師のDXが求められています。
③ については地域における役割を、地域の薬局全体で提供していくという観点が必要であるとされています。
さて・・・なんだかわかりにくいですね。
簡単に行ってしまうと、団塊の世代が後期高齢者になる時期を見越して、在宅医療について「薬剤管理」の観点から一役を担ってほしいということだと思います。

【具体的な対策】
アクションプランとして、以下の4点があげられています。
1. 対人業務の充実
これは調剤後のフォローアップを軸にしながら、リフィル処方箋への対応を推進すべく手引きの作成等を求められていますが、好事例を均てん化するための方策や課題等の収集もすることが求められています。
2. 対物業務の効率化
調剤業務の一部外部委託や院外処方箋について問い合わせ等に関する議論が行われています。最近では、宅配や実店舗がないネットでの処方箋調剤など新たな取り組みも検討されています。
3. 薬局薬剤師のDX
令和4年度診療報酬改定から、薬局以外でのオンライン服薬指導が解禁となり、薬剤師のテレワークもできることとなりました。これは大きな一歩だと思います。
4. 地域における薬剤師の役割
さて、調剤も外部委託が可能となり、薬剤師のテレワークがすすむとなると、地域の薬剤師としての役割をしっかりと確認しておかなければ、薬剤師の役割がなくなってしまいます。
薬剤師の皆さんには、この地域生活(療養)の支援についてもっと関わってもらいたいということだと思います。
例えば、多職種との連携・・・これは病院薬剤師も含めた連携ですが、退院時カンファレンスや他の医療施設への薬剤情報の発信などがあると思いますし、自治体とも取り組んで、健康サポート業務について積極的なかかわりを求められていると思います。

規制緩和の議論の中では、調剤業務の一部外部委託だけではなく、処方箋の40枚規制についても議論をされています。

【薬剤師の役割】
医薬分業の中での薬剤師の役割としては、基本業務として「処方箋受付業務」・・・つまり正しく調剤する、という業務があります。しかしこれだけではありませんね。
近年医薬分業が進められてきていますが、医薬分業の意味合いとして、「処方内容のダブルチェック機能」があります。医師の指示通りに・・・というだけではなく、重複投薬がないか、副作用がないか、薬学的観点から処方内容を精査し、疑義照会を行い安全な薬剤の使用を促進していこうというものです。
患者は症状に合わせて自由に医療機関を選択して行きますので、それぞれの医療機関から処方されたものへ、副作用や重複投薬等をチェックする役割が必要になってきます。
また、薬歴管理として、病歴やアレルギー、副作用経験の有無、食事内容・体調・併用薬の有無など情報を収集し、安全に効果的に使用できるように管理する役割も重要です。
この機能を発揮するために必要だとされているのが、「かかりつけ機能」・・・つまりかかりつけ調剤薬局と薬剤師です。

これら薬剤師の役割を念頭に置きつつ、次回どのような役割が求められているのか、議論の内容を見ていきましょう。

<参考資料>
〇第12回薬剤師の養成及び資質向上等に関する検討会_資料(厚労省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_26758.html

〇薬局薬剤師の業務及び薬局の機能に関するワーキンググループまとめ
https://www.mhlw.go.jp/content/11121000/000962947.pdf

 

医業コンサル課

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