【医療介護あれこれ】接遇レッスン「もう一言添えてみませんか?」

長 幸美

アドバイザリー

今回の診療報酬改定は、地域の中での連携やチーム医療について踏み込んだ改定だなと感じています。今日のコラムはチームで動くことに対しての皆さんのプラスαの声掛けについて考えてみたいと思います。

弊社へのご相談で多いのが、「相手に寄り添う声掛けができていない」というものです。
様々な事象が起こる医療機関の中で、クレームまで発展するケースを調査していくと、この「相手に寄り添う声掛けができていない」というところに行きついてきます。院内の連携等でうまくいかない場合も、実はこの「相手に寄り添う」ことがうまくいっていないことが多いものです。

■医療機関を利用される方の特性
医療機関を利用される方の多くは、「体の具合が悪い方」です。
ただでさえ「何か悪い病気ではないか」「検査って言われたらどうしよう・・・」と不安になられていることでしょう。
ご自身が体の不調を抱えていることもあるでしょうし、近しい家族が体の具合が悪い場合もあるでしょう。それぞれに不安な状況を抱えて来院されているのではないでしょうか?
そして、そんなときのことを思い出してみてください。
不安な時って、「誰かに聞いてほしい」と思うことってありませんか?

■相手の気持ちに寄り添うこと
素敵な看護師さんに出会いました。
あるクリニックで新しいシステム導入の立会いをしていた時のことです。すでに数回訪問し、導入に合わせて作業手順等を見直ししていましたが、その日、ある看護師さんが、診療を終わられた後すぐに、スタッフ用の通路からロビーに出ていかれました。
何かあったのかと気になって声をかけると・・・
診察介助についていた彼女は、説明を聞いていた患者さんと家族の表情から、話をしたほうがいい!と思い声をかけに行ったのです。「先生の言葉が伝わっていない、そう思ってご家族様にお声を掛けました!」とのこと・・・患者さんに寄り添い、説明のフォローをされていたのです。素敵ですね!

■チーム医療のよいところ
チーム医療では、医療・介護にかかわる専門家がその特性を生かして、それぞれの立ち位置の中で患者さんの医療にかかわっていくことができます。
そうすることにより、医師は医師としての、看護師は看護師としての、専門領域に専念することができるのです。

私の父は認知症で、訪問診療をお願いしています。小規模多機能事業所のケアマネジャーさんを中心に、訪問看護、調剤薬局とともに、訪問診療を行う先生が療養上の留意事項等を指示し、管理してくださっています。
もともとは別の診療所でお願いしていましたが、体調の急変の時に「状態が安定しているから診ているんだ、状態が悪くなったときは別の病院に診てもらわないと知らない」といわれたところから、在宅医療を行ってくださる先生を探した経験があります。かかりつけ医だと思っていた先生からの言葉だったので、愕然としました。紹介状や病院への紹介もしてもらえない状態になった時に、皆さんどうされるでしょうか?

かかりつけ医の役割の中で「地域の中で生活し続ける」支援があると思います。
具体的に言うと、予防接種や健康診断、地域の福祉事情なども先生方は把握しておく必要があると思います。しかし、これらをクリニックの先生がすべて把握していくことは難しいですよね。住民の皆さんに寄り添いつつ、必要な情報が連携している方々から得られるようになると、先生方も少し楽になるのではないでしょうか?
そういう連携が取れるようになると、「適切な担当者につなぎましょうか?」という声がかけられることになります。そうすると私の父の時のように、「どうしたらいいのだろう?」と悩むこともなかったと思います。いま、訪問診療の先生がお越しの時に、いろいろと相談すると、その場で訪問看護師さんや薬局に連絡を入れ、必要に応じてきてくださいます。ケアマネジャーさんとも居宅療養指導を活用して、すぐに連絡を入れてくださるので、安心して仕事を続けることもできています。皆さんも信頼して連携できる先を見つけるきっかけになればと思います。

医業コンサル課

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