【医療介護あれこれ】骨太方針2021について

長 幸美

アドバイザリー

今年の6月に閣議決定された「骨太の方針2021」はご覧になっていますか?

「経済財政運営と改革の基本方針2021」と名付けられたこの方針は、副題に「日本の未来を拓く4つの原動力」とされています。
新型コロナウイルス感染拡大の影響や災害に対する対策などが第一番目に出てきていますが、環境問題やデジタル化についても、大きく取り上げられています。
世界経済の変化や国内については働き方改革、生活を支えていくための感染対策をはじめとする支援体制や経済の回復等が盛り込まれていますが、このことが医療機関や介護事業所にとってどのように影響していくか、少し見ていきましょう!

日本を取り巻く環境変化(骨太方針2021概要_20210618)
(出典:20210618_「骨太の方針2021」概要より)

■感染症の克服
昨年からの新型コロナウイルス感染対策については、皆さんご苦労が多かったことと思います。ワクチン接種済みの方が増え、ようやく落ち着いてきたかに見えていますが、今後、新たな新興感染症が起こった時に、今回のことを教訓にして、どのように地域の医療提供体制を構築するのかは、各地域の基幹病院を中心に検討していく必要があります。

今回、感染の拡大や濃厚接触者、学校等の休校に伴い、医療従事者や介護従事者の確保ができず、結果地域住民や職員の不安を募らせる結果となりました。医療有資格者を、治療が必要な方々を診療する医療機関へ効果的に集約することなど、多くの課題が浮き彫りになったと思いますし、医療機関においては、医療法の改正により、6事業目として「新興感染症」が追加され、「第8次医療計画」に盛り込むことが決められています。

介護保険では、令和6年までに事業継続計画(BCP)の作成が法制化されましたね。地震や風水害だけではなく、「新興感染症」も災害時として体制を考えていく必要があります。

■デジタル化への道
オンライン資格確認などでは、「マイナンバーカード」の取得などに課題があり、なかなか進まない状況があるようですが、今年夏以降の厚労省の集中支援等があり、本格稼働が始まりました。ぽつぽつ医療機関の窓口でも問い合わせが出てきているようにお聞きしています。

このほか、医療・介護業界の中で、定例的な作業については、DXを活用したデータ集約や作業が少しずつ検討され始めました。
具体的に言うと、レセプトデータを活用した日次月次集計表や看護必要度等の電子化です。
医療・看護必要度については、すでにレセプトデータを活用した場合の評価についてルール化されていますが、今後、実績統計等「アウトカム指標」に役立つ資料を作ること、データの活用を自動化することだと思います。レセプトを見ながらエクセルと格闘している時代は終わりだということでしょう。

それと同時に、「ヒト」が実施しなくてもよいことは、機械(システム)を活用して、対面や人的サポート業務を増やしてほしいということの表れかもしれません。

■安全で安心な暮らしの実現
「地域包括ケアシステム」や「共生社会」という改定でもよく聞くフレーズだと思いますが、生活し続けること、そこで暮らしたいという思いは、高齢者ばかりではありません。
子供たちへの支援、障害や病気の治療をしながら働く方への支援、在宅ワークや孤立しないための仕組みなど、様々な課題があると思います。
こういった課題に対し、医療機関としてどのように寄り添い・支援していくか、ということが、重要ですよね。今後、診療報酬の評価も注目したいと思います。

このほかにも、グリーンニュートラル、SDGsの取り組みや地域活性化など、様々な取り組みが挙げられています。医療機関としてこれらを取り組んでおられる医療機関も増えてきていると思います。次期改定に向けて、皆さんの医療機関の立ち位置を見ていくヒントになると幸いに思います。

医業コンサル課

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