Q&Aより~電子的診療情報評価料とCT/MRI画診共同の実際は?

長 幸美

医療介護あれこれ

B009「診療情報提供料(Ⅰ)」の注18「検査・画像情報提供加算」と「電子的診療情報評価料(B009-2)」について、さらにCT/MRI画診共同について、どう算定するのか?という質問をいただいております。

今回は、寄せられたご質問の中から特に多かった内容を取り上げ、制度の根拠と実務上の取扱いについて、Q&A形式でわかりやすくお話ししたいと思います。

そもそも、「画診共同」とは?

「画診共同」とは、特定の医療機関(例えば、クリニックなど)がCTやMRIなどの画像診断機器を所有していない場合に、他の医療機関(例えば、病院など)の機器を共同で利用する仕組みのことです。

「画診共同」については、弊社のコラムでも一度記載したことがありますので、まだご覧になっていない方はぜひご覧いただければと思います。

  ■画診共同~医療機器の共同利用していますか?~ ⇒(こちら)からご覧いただけます。

Q&Aより読み解く

さて、ここからは当社にこれまでに寄せられた質問を読み解いていき、理解を深めていきましょう!

質問①画診共同の場合、「特定の医療機関とネットワークを組んでいなければならない」というのは本当ですか?

原則として、画像診断の共同利用(いわゆる「画診共同」)が想定される場合には、医療機関間の連携体制が求められます。必ずしも専用ネットワーク接続が必須というわけではありませが、B009「診療情報提供料(Ⅰ)」の注18「検査・画像情報提供加算」と「電子的診療情報評価料(B009-2)」の算定は届出の施設基準にあるように他の保険医療機関と連携し、患者の医療情報に関する電子的な送受が可能なネットワークを構築する必要があります。「画診共同」に限れば特定の医療機関とネットワークを組むことを求められているわけではありません。

質問②当院のかかりつけの患者さんを他の医療機関にCT/MRIの撮影依頼し、撮影結果をCD-ROMでもらいました。この場合、他医撮影の写真診断料を当院で算定していましたが、査定されました。写真診断料は算定できないんでしょうか?

画診共同・・・つまり、当院(A医院)にCT/MRIがないために、他の医療機関(B病院)が持っているCT/MRIを使わせてもらう・・・という場合は、「撮影のみをB病院に依頼して撮影してもらい、保険請求等は依頼元(A医院)が請求する」というイメージになります。A医院では、施設基準の届出をせずにB病院の施設基準に従って画像診断料(撮影料を含む)を診療報酬で請求を行うことになりますので、「画診共同」のコメントをレセプトの摘要欄に記載しなければいけません。

この場合、CT/MRIを撮影した医療機関では、「1件当たりいくら(○○円)」という取り決めを、あらかじめ依頼元と打ち合わせて、その件数に応じて依頼元の医療機関に実費請求することになります。
A医院では、依頼時に撮影料・コンピュータ画像診断料を請求していますので、「他医撮影の診断料」は算定しません。

質問③CT/MRIを撮影したのち、読影・診断まで依頼することは出来ないのでしょうか?

CT/MRIの撮影だけではなく、読影・診断までお願いする場合は、依頼を受け撮影する医療機関では、紹介患者さんの初診・再診と同じ流れで、問診⇒医師の診療⇒検査⇒診断という流れを踏むことになります。
診療費の請求も、通常の診療と同じように、「初診料又は再診料+画像診断料(撮影料を含む)」を依頼先の医療機関で請求することになります。

依頼元医療機関では撮影を依頼する際に特別な関係以外であれば診療情報提供料を算定できます。後に、その検査結果のレポートを受け取れることになります。依頼元は再診料の請求を行えますが「画像診断料」や「他医撮影の診断料」を請求することはありません。

質問④CTやMRIの画像提供には、特定の医療機関とネットワークが必要といわれたのですが、CD-ROMの提供ではだめなのでしょうか?

依頼を受けCTやMRIの検査を行う場合専用ネットワークの構築は必須ではありません。医療機関間での連携体制(いわゆる画診共同)を前提とした場合は診療報酬として届出基準にカウントされます。診療報酬改定通知では、「電子的に提供される診療情報」として、CD-Rなどの記録媒体による提供も含まれると明記されています。つまり、物理的なネットワークを介さない情報提供も認められています。

質問⑤B009-2電子的診療情報評価料(30点)の算定はできませんか?

電子的診療情報評価料(30点)とは、他の医療機関から診療情報提供書の提供を受けた患者について同時に電子的方法により提供された診療情報(検査結果、画像情報・画像診断の所見、投薬内容・注射内容及び退院時要約等)のうち主要なものを電子的方法により閲覧又は受信し、当該検査結果等を診療に活用することによって、質の高い診療が効率的に行われることを評価する診療報酬です。

この点数は施設基準の中で、「他の医療機関と連携し、患者の医療情報に関する電子的な送受信又は閲覧が可能なネットワークを構築している。」ことが規定されていて、施設基準の届出が必要です。
電子的な送受信又は閲覧が可能な情報には、原則として「検査結果、画像情報、投薬内容、注射内容及び退院時要約」が含まれていることが要件とされています。
診療所の場合は画像情報・退院時要約は閲覧できればよいとされています。
提供側の保険医療機関では、提供した診療情報または閲覧可能とした情報の範囲及び日時が記録されており、必要に応じて随時確認できること、また提供を受ける側においては、提供を受けた情報を保管している又は閲覧した情報のアクセスログを1年間記録していることなどが要件とされています。このアクセスログについては、ネットワークを運営する事務局が保険医療機関に変わって記録している場合も認められていますが、当該評価料を算定する場合、必要に応じて随時記録を取り寄せることができることが求められています。

そして、事務連絡(疑義解釈通知)の中で、「別の保険医療機関より、検査結果等をCD-ROMで提供された保険医療機関が、当該検査結果等を当該医療機関の診療情報を閲覧するシステムに取り込み、当該検査結果等を診療に活用した場合も算定可能か」との質問に対し、「算定不可」との回答が記載されています。あくまでも専用ネットワークを介して情報のやり取りが必要と解されます。

まとめ~制度の趣旨をふまえた正しい活用を~

さて皆さま如何でしょうか?
CT/MRIについては、高額なため、何処の医療機関にも設置されているものではありません。一般的なエックス線撮影より得られる情報も多く、「精密検査」として活用される機会も多いものだと思います。
また、「画診共同」については、質問が多い項目でもありますし、地域の医療資源を有効に活用し、質の高い診療を行うためには、重要になってくると思います。

制度の趣旨は、電子的手段による情報のやり取りそのものよりも、患者の診療における医療機関間の質の高い連携を評価することにあります。制度を正しく理解し、適切に活用していきましょう。

【参考資料】  ※令和7年5月25日確認

■厚生労働省/令和6年度診療報酬改定について ⇒(こちら)

  ⇒別表第1「医科診療報酬点数表」令和6年厚生労働省告示第57号

  ⇒別添1「医科診療報酬点数表に関する事項」保医発0305第4号

著者紹介

長 幸美
医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント

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