【医療介護あれこれ】点数表読解術

長 幸美

アドバイザリー

皆さん、診療報酬点数表の初めに点数表読解術なるページがあるのをご存知でしょうか?点数表は持っているけれど、あまり見たことがない、という方が多いのではないでしょうか?点数表を読み解いていくうえでは、とても大事なことが書かれていますので、今日はこの中から、点数表を読み解いていくうえで大事な用語を見ていきましょう。

【点数表の基本的な約束事】
■診療行為と算定回数の関係
点数表の中で「1日につき」「一連につき」等と書かれていないものは、原則「1回につき」算定する。

■「注」のかかる項目の見分け方
「注」は原則、「注」という文字の字下がりの位置により判断します。
つまり、「注」は常にその「注」がかかる項目よりも1文字「字下がり」して記載されています。

■所定点数の原則
基本的には各区分番号に定められた基本点数のこと。原則「注」に定められた加算点数は含まないものです。
但し、加算・逓減等の例外的な取り扱い等がありますので、処置の部の通則5,手術の部の通則7・8・12などは注意が必要です。

■文章における対応関係
診療時間外加算のところにあるように、「診療時間以外の時間、休日又は深夜は、それぞれ所定点数に85点、250点又は480点」と書かれていた場合、「A、B又はCは、a、b又はc」という記述はAとa、Bとb、Cとcが対応する関係にあります。
従って、診療時間以外の時間は85点、休日は250点、深夜は480点の加算となります。

■別に厚生労働大臣が定める~
これは、基本診療料では「告示3」に、特掲診療料では「告示4」に定められているということです。

■準用点数
「〇〇に準じて算定する」「〇〇の例により算定する」と記載されている場合は、○○についての告示や通知の例により、算定が認められているということを表します。
保険請求項目にそのものの名称がない場合、一番近似している点数で算定することになりますが、その内容を示されているということです。
これは、当局にお伺いを立て、その内容が通知等で示されているものです。

■A又は(若しくは)B
このように書かれた場合は、AかBかいずれか一方、という意味になります。

■A及び(ならびに)B
これは、AとBの両方、という意味になります。

■主たる〇〇により算定
特に定めはありませんが、一般的には指定されている中で一番点数の高いものを算定します。

■暦月、暦週、カウント
点数表上で、「〇月」「月〇回」、「〇週」「週〇回」、と記載されて、特に指定が無い限り、以下の期間を表します。
暦月 :カレンダー上の1月(1日から末日まで)
暦週 :カレンダー上で日曜から土曜日までの一週間

■1日につき
特に規定する場合(J038等)を除き、午前0時~午後12時までの24時間を指します。
入院料などに多いと思いますが、このため、午後5時に入院し、午前10時に退院しても、2日間とカウントするのです。
また、外泊の場合は、午前0時~午後12時までの24時間不在の場合を外泊1日とカウントします。注意が必要ですね。

■一連につき
治療の対象となる疾患に対して、所期の目的を達するまでに行う一続きの治療行為のことを指します。

■1時間を超えた場合は、30分又はその端数を増すごとに〇点加算する。
往診料など、基本とする点数のほかに、1時間を超えた場合にはその端数分の加算点数が算定できることを表します。従って、開始時間・終了時間がとても大事になります。

■看護職員と看護要員
看護職員は、看護師と准看護師を指します。
この看護職員に看護補助者を加えたものが看護要員です。

■専従と専任
これはよく質問があります。
「専従」とは、専らその該当業務に従事する場合を指します。従って原則他の業務はできません。
対して「専任」とは、当該業務に責任を持ち、対処することで専従しなくてもよい、と解されます。従って、その当該業務に差し支えない場合は兼務が認められます。この場合勤務内容と時間などが明確にわかるように日報等で管理する必要が出てきます。

■特別の関係
保険医療機関とその他の保険医療機関等の関係が以下の①~⑤の状態にある場合を指します。この特別の関係の場合に算定ができないものなどがありますので、注意しましょう。
① 開設者が同一
② 代表者が同一
③ 代表者が親戚等(事実上の婚姻関係と同様に生計を一にする場合を含む)
④ 役員等の親族等が占める割合が3割超
⑤ 他の保険医療機関等の経営方針に重要な影響を与えることができる場合

■投薬に関する用語
「1剤」・・・1回の処方で服用時点・服用回数が同じ内服薬
配合不適や固形剤と内用液、服用方法が違う場合は除きます。
「1調剤」・・・1回の調剤行為で調剤可能な薬剤の総量のこと。外用薬の算定単位。
「1処方」・・・処方料の算定単位
医師が患者に与える薬剤名・使用料・使用法などを決めることを処方といい、
1回の診察で医師が処方するものを1処方といいます。

■手術等に関する用語
「対象器官」・・・体の左右に2つずつある器官をいう。
器官とは、特定の生理機能を有し、形態的に独立した部分のことで、
眼、耳、腎臓、肺、卵巣、清掃、関節、等がある。
「患側」・・・疾患のある側
「健側」・・・健康な側
「同一手術野」「同一病巣」・・・原則として同一の皮切(皮膚を切開すること)により手術が行える範囲のもの

【終わりに】
今回は、点数表の基本的な約束事について、解説してきました。ここに記載している用語以外にも、点数表の構成や保険の種類、各種法令の名称と位置づけ、病棟・病院の種類など、たくさんの基本的事項の解説が書かれています。
はじめに、これらをしっかりと読んで理解しておくと、点数表の本文を正しく理解する第一歩になります。また、点数表の活用方法についても、解説がありますので、是非一度読んで活用していきましょう。

<参考図書>
■医学通信社 「診療点数早見表【医科】2020年4月現在の診療報酬点数表」

 

医業コンサル課

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