【医療介護あれこれ】医療事務基礎講座「特定薬剤治療管理料」
長 幸美
アドバイザリー今回は、医学管理の中の「B001「2」特定薬剤治療管理料」について整理しましょう。
特定薬剤治療管理料には1と2があります。
【特定薬剤治療管理料1とは】
指定された疾患・状態を対象とし、投与薬剤の血中濃度を測定し、その結果に基づき当該薬剤の投与量を精密に管理した場合に、月1回算定できるものです。
従って、薬剤と疾患について細かく記載があります。
■特定薬剤治療管理料1の対象患者(別表第2)
ざっくりとした内容で、よくわからない・・・と思われる方は、特定薬剤治療管理料1の通知文の中に、さらに詳しく記載されていますので、是非見ていただければと思います。
また、算定点数との関係は、下記表の中に整理されています。
(出典:医学通信社「診療点数早見表」B000「2」特定薬剤治療管理料_参考資料より)
【特定薬剤治療管理料2とは】
これは、多発性骨髄腫等の治療薬を使用するにあたり、胎児暴露を未然に防止するための安全管理手順を遵守したうえでサリドマイド製剤及びその誘導体の処方及び調剤を実施した患者に対して、医師及び薬剤師が当該薬剤の管理の状況について確認及び適正使用にかかる必要な説明を行い、当該医薬品の製造販売を行う企業に対して確認表等を用いて定期的に患者の服薬にかかる安全管理の遵守状況等を報告した場合において月に1回につき算定できるものとされています。
薬剤としては、「サリドマイド」「レナリドミド」「ポマリドミド」が該当する薬剤となります。
安全管理手順としては、「サリドマイド製剤の管理手順(TERMS)」及び「レブラミド・ポマリスト適正管理手順(RevMate)」を遵守することとれています。
該当する薬剤を処方されている医療機関はご確認ください。
【加算について】
かなり精密な管理を要する薬剤として指定されているものが多いのですが、管理の状況に応じて、点数が配分されていますので、カルテ等で状況を確認しつつ、算定を行うようにしましょう。
■初月加算 250点
初めての場合については、頻回の血中濃度測定等が必要なことを勘案され、加算がついています。
また、臓器移植に伴う免疫抑制剤については、はじめの3か月間の管理が重要であり、その間は2740点という高い配点がありますので、Checkしておきましょう!
■4月目以降の点数は薬剤により違う
4月目以降については、薬剤の使用も安定してくることが予測され、点数が半減するように設定されていますが、以下の項目については、所定点数が変わらず算定できますので、間違えないようにしましょう。
<4月目以降も所定点数が変わらないもの>
■急速飽和を行った場合の算定
これは重症うっ血性心不全の患者にジギタリス製剤を使用した場合、及び、てんかん重責状態の患者に対して抗てんかん剤の注射等を行った場合は、所定点数に関わらず740点を算定することとされています。
これらの場合には、全身状態を見ながら点滴等で薬液を注入し、頻回な血中濃度測定が必要であることから、設けられたものです。
この点数を算定した月は、470点又は235点の所定点数を算定することはできませんので、注意が必要です。
【留意事項】
基本的に月1回の算定ですが、例外が2点あります。
① 対象薬剤群が異なる場合は、別々に所定点数を月1回算定ができます。
⇒これは、上記参考資料「特定薬剤管理指導料」に記載されている、①~⑲の区分ごとに1回算定できます。
但し、急速飽和を行った場合の740点を算定した場合は、ジギタリス製剤、抗てんかん剤については別に算定できませんので注意してください。
② 上記参考資料の「②抗てんかん剤」を同一月に2種類以上投与し、それぞれについて個々に測定管理を行った場合は、当該月においては、2回に限り所定点数が算定できます。
如何でしょうか。少しややこしいですね。
改めて皆さんの医療機関で使用されている薬剤と、検査内容を見直してみていただければと思います。
<参考資料>
■診療点数早見表(医学通信社)_B001「2」特定薬剤治療管理料
■診療報酬の解釈(社会保険研究所)
医業経営支援課
著者紹介
- 医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント
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