【医療介護あれこれ】医療事務基礎講座「特定疾患処方管理加算」
長 幸美
アドバイザリー特定疾患処方管理加算とは処方箋料の加算で、「厚生労働大臣が定める疾患(以下、特定疾患という)」を主病とする患者に対し、処方せんを発行するときに算定できます。
特定疾患といわれるものは主に生活習慣病が多いのですが、いわゆるポリファーマシーの問題等もあり、特別な配慮が必要なために作られた加算であろうと考えます。
【F400 処方箋料 注4,注5_特定疾患処方管理加算】
特定疾患処方管理加算には二種類の加算点数があります。
二つの加算について考え方を整理していきましょう。
■共通ルール(前提条件)
・「特定疾患」を主病とする外来患者であること
・同一月内において、加算1と加算2の併算定は不可であること
■加算点数の比較表
特定疾患の薬剤の処方日数、特定疾患以外の薬剤の処方に対し、以下のように算定ルールが定められています。
66点の月1回を限度というのは、28日以上出すのですから、基本的に、月1回処方でいいでしょう、ということだと思います。
仮に特定疾患を主病とした場合、14日分処方で2週間に1回処方せんを発行する場合ですと、18点が2回まで算定できます。
■注意事項
注5のただし書きの中に、「この場合において、同一月に特定疾患処方管理加算1は算定できない」とあります。つまり、同じ月の中で、加算1(18点)と加算2(66点)を請求することはできないということになります。どちらか片方のみの算定ということになります。
【厚生労働大臣が定める疾患とは】
告示4特掲診療料の施設基準等の別表第1の中に規定があります。
疾患名としては、「B000 特定疾患療養管理料」の疾患名と同じものです。
詳細は、点数表の中にも、「告示6 疾病、傷害及び死因の統計分類基本分類表」の後ろのページにも標準病名等が載っていますので、詳細な確認は、このページを参照ください。
別表第1「特定疾患療養管理料並びに処方料並びに処方箋料の特定疾患処方管理加算1及び特定疾患処方管理加算2に規定する疾患
結核 悪性新生物 甲状腺障害 処置後甲状腺機能低下症
糖尿病 スフィンゴリピド代謝障害及びその他の脂質蓄積障害 ムコ脂質症
リポ蛋白代謝障害及びその他の脂(質)血症 リポジストロフィー
ローノア・ベンソード腺脂肪腫症 高血圧性疾患 虚血性心疾患
不整脈 心不全 脳血管疾患 一過性脳虚血発作及び関連症候群
単純性慢性気管支炎及び粘液農政慢性気管支炎 詳細不明の慢性気管支炎
その他の慢性閉塞性肺疾患 肺気腫 喘息 喘息発作重責状態
気管支拡張症 胃潰瘍 十二指腸潰瘍 胃炎及び十二指腸炎
肝疾患(経過が慢性なものに限る) 慢性ウイルス肝炎 アルコール性慢性膵炎
その他の慢性膵炎 思春期早発症 性染色体異常
【QAより】
■主病を高血圧症とする患者に対して、月初めに高血圧症治療薬を14日分処方したので、特定疾患処方管理加算1(18点)を算定した。その後、同月中頃に高血圧症治療薬を28日分処方した場合、特定疾患処方管理加算2(66点)を算定できるか。
⇒特定疾患処方管理加算1(18点)と特定疾患処方管理加算2(66点)は
併算定できないため、月初めに算定した特定疾患処方管理加算1(18点)の算定を
取り消した上で、特定疾患処方管理加算2(66点)を算定することができます。(H16.3.30厚労省事務連絡より)
【今回のポイント】
最後にポイントを整理しておきましょう。
今回のポイントは、「主病」が特定疾患であること、そして、その特定疾患に対する処方が28日以上であるかどうか、ということになります。
ポイントを押さえて、誤請求・請求漏れをなくしていきましょう。
医業経営支援課
著者紹介
- 医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント
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