【医療介護あれこれ】在宅医療シリーズ①~算定要件と施設基準について~

長 幸美

アドバイザリー

在宅医療を行う上で、「在宅時医学総合管理料」と「施設入居時等医学総合管理料」がありますが、一体どんなものなのでしょうか?
診療報酬が高いこともあり、なかなか算定し辛い項目かもしれませんが、在宅医療を行う上では主な診療報酬になると思います。質の高い在宅医療を提供するためにも、検討したい項目のひとつです。ただ、患者負担が増えることも事実です。患者にとってのメリットをしっかりと理解し、活かしていきましょう!

在宅時医学総合管理料/施設入居時医学総合管理料については、在宅を行う上でとても大事な項目となりますので、3回シリーズでお届けしたいと思います。
第1回目の今日は、そもそも在宅時医学総合管理料とは何なのかということ、そして施設基準について考えてみたいと思います。

【在宅時医学総合管理料/施設入居時等医学総合管理料とは?】
在宅患者に対する、総合的な医学管理を評価する診療報酬です。
在宅での療養を行っている患者に対するかかりつけ医機能の確立や在宅での療養の推進を図るためのものです。
つまり、計画的・定期的に訪問して診療を行い(訪問診療)、総合的な医学管理を行った場合の評価となります。ですので、独歩で来院できる患者は対象外となりますし、通院に対し何らかの支援が必要な患者が対象となります。
また、厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして、地方厚生局長等に届け出る必要があります。

在宅時医学総合管理料は在医総管と略され、施設入居時医学総合管理料は施設総管と略されています。

【算定対象】
通院困難な在宅療養を行っている患者
■在宅時医学総合管理料(在医総管)は在宅での療養を行っている患者
■施設入居時医学総合管理料(施医総管)は施設入居者で通院が困難な患者

【算定要件】
通院が困難な患者に対し、本人の同意を得て計画的な医学管理のもとに定期的な訪問診療を行う場合に月1回算定できます。

従って、往診のみの場合には算定ができません。
名称にもある通り、居住場所により算定点数が変わってくるところに特徴があるといえます。
■在医総管・・・自宅、ケアハウス、
小規模多機能居宅介護(宿泊時のみ)、看護小規模多機能型居宅介護(宿泊時のみ)
■施設総管・・・養護老人ホーム(110名以下)、軽費老人ホーム(A型)、
特別養護老人ホーム(末期の悪性腫瘍患者又は死亡日から溯って30日以内の患者のみ)
特定施設、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、
認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
短期入所生活介護、介護予防短期入所生活介護(※)
(※)の場合、サービス利用前30日以内に在宅患者訪問診療料、在医総管、施設総管、在宅がん医療総合診療料を算定した保険医療機関の医師のみ、サービス開始後30日まで算定可能という制限がついています。

【施設基準】
この「在医総管」「施設総管」を算定するためには、施設基準の届け出が必要です。
基準は以下のようになっています。
■告示 厚労省告示第58号(2020年3月5日改正)
①当該保険医療機関内に在宅医療の調整担当者が1名以上配置されていること
②患者に対して医療を提供できる体制が継続的に確保されていること

■通知 20200305保医発0305第2号
(1) 次のいずれをも満たすこと
(ア)介護支援専門員、社会福祉士等の保険医療サービス及び福祉サービスとの連携調整を担当するものを配置していること
(イ) 在宅医療を担当する常勤医師が勤務し、継続的に訪問診療等を行うことができる体制を確保していること

(2) 他の保険医療サービス及び福祉サービスとの連携調整に努めるとともに、当該医療機関は、市町村、在宅介護支援センターなどに対する情報提供にも合わせて努めること、
(3) 地域医師会などの協力調整などのもと、緊急時などの協力体制を整えることが望ましいこと

これらを基に、安心して在宅療養生活が送られるよう支援する体制が求められています。

次回は、在宅時医学総合管理料の「点数」についてみていきます。

医業経営支援課

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