【医療介護あれこれ】第13回全国連携実務者ネットワーク連絡会に参加して
長 幸美
アドバイザリー久々の梅雨の晴れ間の土曜日、全国連携実務者ネットワーク連絡会が開催されました。
連絡会のテーマは、「これからの地域連携マインドセット」です。コロナ禍において、皆さんご苦労されている様子や、その中で奮闘しつつ、前向きに地域の生活を支えておられる様子や取り組みをお聴きすることができました。また、今回は全国から100名近い方の参加がありました。これだけ多くの仲間がいて、頑張っているというのは、本当に心強く感じます。コロナ禍でのオンライン開催でしたが、様々な地域の取り組みなどをお聴きすることができ、とても刺激的な良い時間となりました。
【基調講演:地域連携をめぐる大きな潮流_厚生労働省医政局総務課 熊木課長】
2025年問題もすぐ目前となってきていますが、さらに先、2040年に向けて考えていかなければならない大きな課題「支え手がいなくなる中での地域を支えていくこと」について何を考え、何を求められているのか、というお話でした。
2040年に向けては、これまでとは違う新たなチャレンジになること、「医療だ、介護だ」「医療職だ、介護職だ、事務員だ」という壁を取り払い、関わる方々全体がつながり、協働しなければうまくいかないのではないか、それは地域の力が問われているのではないか、ということをお話され、まさしく、役割分担と連携が大事だといわれていました。
連携には様々な形があります。
地域により、求めるものが変わってきます。地域医療構想が「地域ごとに考えるべき」課題であるといわれる所以です。大都市(東京や大阪など)と地方都市(福岡や北九州など)、山間部、海沿いの町、島・・・それぞれに産業も違えば人口の分布も違います。歴史的背景もあるでしょう。それぞれの地域ごとに考えていかないといけないことであることは明白です。
また、ニーズに合った病床と連携・・・これは「コロナ禍」で直面している問題だと思います。
大規模の急性期病院と地域の200床未満の病院やクリニックが同じ機能を持って活動していては、お互いに破綻すると思います。急性期病院にはその役割があり、地域の病院にはその役割があります。同様にクリニックには「在宅生活を支える」ことと、「専門医療」という二通りが示されていましたが、そういった役割分担の中で、何を担っていくのか、ということがとても大事になってくると思います。
地域包括ケアシステムは、本人(住まい)を中心にして、医療や介護、地域、行政も含めてすべての方々がつながり支援をしていくことを指していることは皆さん理解されていると思います。では、その地域包括ケアシステムを皆さんの立場でどう支えていきますか?
(出典:厚生労働省ホームページ「地域包括ケアシステム」より)
本人を中心にして、多職種が連携し、繋がり、包み込んでいく仕組み、・・・つまり本人(ニーズ)を起点にして関わるみんなで話し合い進めていくことには、変わりがないと思います。そうして繋がっていくためには、顔の見える連携、緩やかな関係性がとても大事だということではないでしょうか?
こういったことを改めて考えた講演でした。
【教育講演:地域連携で楽しく紡ぐ_倉敷中央リバーサイド 十河事務長】
地域連携の中でとても大事にしていること・・・まずは、「ニーズの把握」というところでしょうが、対象となる「顧客はだれか」ということと、マーケティングにより、正しく立ち位置と地域のニーズを知ることが大事だというお話がありました。
基調講演をどのように実践していかれているのか、十河先生の視点や考え、どう行動に結び付けていってどんな効果があったのか、改めて、「ニーズの把握」「マーケティング」の視点を学ばせていただく機会でした。
【シンポジウム:コロナ禍でも持続可能な地域連携ネットワーク】
コロナ禍での対応に頭を悩まされている方が多い中、地域医療を維持していくために、様々に工夫し、周辺の医療機関とのつながりを作っていかれている様子をお聞きし、頭が下がる思いです。このシンポジウムでは、全国各地の事情に応じた取り組みを知ることができました。
思いがたくさんあふれた内容で、時間が足りない!と感じました。
リアルにお会いしてお話をお聞きし、意見交換ができればいいなと思います。
中でも、私が個人的に興味をそそられたのが、「大阪連携たこやきの会」です。
どうしても病院中心の連携の会が多い中で、この会は「地域医療連携に携わる者の交流や意見交換」に重きを置き、病院だけでなく、会員の2割が診療所・歯科医院をはじめとする薬局や訪問看護ステーション、入所施設・・・つまり、多職種で構成されています。
病院の視点だけではなく、クリニックの視点、薬剤師の視点など、多様な視点を基に、住んでいる方々に寄り添っている会なのかなと感じました。
冒頭の基調講演でも、熊木先生が「医療」と「介護」では言葉のとらえ方が違う、という話をされていました。わたしは、地域を考えるためには、一人の「ヒト」に対し、様々な視点を通してみていくことが必要だと常々考えており、地域を支えていくためには、生活する方々の視点が大事になってくると思います。これには病院はもとよりその周辺の多職種が複合的にかかわっていく必要があり、これが「地域における機能分化と役割分担」ではないでしょうか。複合的な視点を持ったコーディネーターとしての活動について、もっと知りたい、そして繋いでいきたい、と思いました。
また、時々参加させてもらっている「広島おりづるネットワーク」では以前ご紹介した「活き逝きカード」を使った「老活」やカンファレンスなど、具体的な地域での活動をお聴きすることができましたし、沖縄や東京など、「コロナ禍でどうやって地域を支えていくか」、という視点で地域に入り込んで立ち位置を見直した、という取り組みのご紹介もありました。東北では7県合同での広域ネットワークで協議されているところなども、興味があり秋のWeb開催には是非参加させていただきたいなと思います。
コロナ禍では、医療提供体制にも様々に影響が出てきています。
私も高齢の両親とともに暮らしています。体調を崩した時に救急搬送が受け入れてもらえない状態であることや地域のかかりつけ医の実態も見えてきました。そのような中で、安心して生活していくためには、医療機関として、介護事業所として、またその地域に住む住民として、どのように支えて・つながっていくのか、ということを考えさせられることが多くなってきました。全国連携実務者ネットワークに所属している者として、いかに繋いでいくかということを改めて考えた連絡会でした。
ご興味がおありの方は、以下をご参照ください。
■全国連携実務者ネットワーク
https://www.renkei-network.net/
医業経営支援課
著者紹介
- 医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント
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