コラム de スタディ

2021.06.15.
社労士モリの映画あれこれ~「ファーザー」(2020:イギリス・フランス合作)~

先ほど発表されたアメリカのアカデミー賞で見事アンソニー・ホプキンスが「羊たちの沈黙」に続いて2度目の最優秀主演男優賞に輝いたこの作品。彼の名演も見ものではあるのですが、作品自体もとても良い作品でした。なおこの作品は予備知識なく鑑賞したほうが、より良さが増すと思いますので、これから鑑賞予定の方は、以下ご注意ください。

※以下、重要なネタバレがあります。
描かれる題材は「認知症」。このテーマの作品は国内外多くありますが、この作品の大きな特徴は、患った男性老人の全くの1人称から描かれている事です。本人が見聞きする出来事が主観のみで描かれ、虚と実、過去と現在が入り乱れ、何が本当なのかも提示されないまま展開していきます。時には自分の娘が別のシーンではなぜか全く別人物に…。でもその別人物こそ本当の娘かも…。そういったシーンの連続に我々観客も主人公と同一化し、不安を抱きながら鑑賞することになります。まさに認知症の老人から見た外界を追体験することになるのです。認知症の人からは物事がこのように見えるのかも…、それはまさに不条理劇であり、時にはホラーサスペンスでもあるかのよう。
ある意味冷徹な視点で描かれる故、観客にとってももつらく厳しい場面が続きます。しかしながら最後までこの作品を鑑賞すると、作り手側のささやかながらも人間に対する暖かい視線を感じとることもでき、私は後味の悪さは感じませんでした。

余談ですが、私がこの映画を鑑賞して、連想したのが夢野久作著の小説「ドグラ・マグラ」。この作品、日本探偵小説三大奇書のうちの一冊といわれ、狂人が書いた小説という設定のもと、虚実が混在し、余りに摩訶不思議で難解な為、「読破した者は必ず精神に異常をきたす」と言われたとか。私も相当昔に読みましたが、内容はよく理解できないにも関わらず、複雑怪奇な世界観に魅了され、一気に読み終えました。(精神を病んだかどうかは…。)
映画と小説の違い、内容やテーマも異なりますが、テイストがとても似ているなと。
(ちなみにこの小説も過去映画化されています。未見なのでこれを機に鑑賞しようかな。)

筆者略歴:特定社会保険労務士。 「WOWOW映画王選手権」2001年、2002年本戦連続優勝、2011年本選準決勝進出、2013年本戦準々決勝進出。2012年「スカパー!映画クイズ選手権」本選優勝。映画検定1級(2014年は首席合格)

労務コンサル課

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