【医療介護あれこれ】接遇レッスン「社会人と学生の違い」
長 幸美
アドバイザリー今年も新年度が始まり、通勤途中でも、新社会人や新入生の初々しい姿を見かけるようになってきました。爽やかな風を受け、颯爽と歩く姿をほほえましく見ています。
今年も、新人研修の一環で「接遇研修」をさせていただく機会をいただきました。
その時にお話して感じたことも含め、「社会人と学生の違い」を今回は皆さんとも考えてみたいと思います。
【社会人とは】
18歳から選挙権が与えられ、高校を卒業した段階で、すでに「もう大人になったから…」と思われている若者が多いように思いますが、実際にはまだまだ学生気分が抜けきれていない方、多いのではないでしょうか?
では、学生と社会人との違いとはどのようなものがあるでしょうか?
■金銭面
学生の間は、学校に授業料を払っています。多くの方はご両親が払ってくださっているのではないでしょうか? お小遣いをもらい、好きなことに全部使うことができます。
では社会人となるとどう変わるでしょうか。
職場からお給料をもらう、という生活になります。このお給料はただもらえるだけではなく、「仕事」に対する対価になります。また、そのお給料の中で、生活費、税金や保険料、等も支払うことになりますので、経済感覚も必要になってくるでしょう。
■人間関係
学生の間は、主に同年代の友人関係が主となり、気の合う方とお付き合いすればよかったのではないでしょうか? せいぜい部活やサークル、先生方等との上下関係だったと思います。
社会人になると、上司、同僚、患者やその家族、取引先の方など、年齢が上の人生の大先輩とも一緒に仕事をしていくことが必要です。非常に複雑な人間関係の中で連携やチームワークが必要になってきます。
■守るべきルールや責任
学生の間は両親や友人、学校の規則を守っていればよかったでしょう。また、まだまだ未熟で「責任が取れない」「正しい判断ができない」と思われ、大目に見てもらうこともあったのではないでしょうか? 例えば時間や行動など、遅刻したり、ため口を使ったりして、注意されても「まあ仕方ない」と注意はされる程度のことではなかったかと思います。仮に何か違反することがあっても、個人の問題として片付いたり、親が弁償することで片付いたりしましたよね。
社会人になるとそういうわけにはいかなくなります。
法律を遵守することは当たり前、そのうえで、組織の一員として新人であっても、社会的な責任やコンプライアンスをとる必要が出てきます。遅刻やため口などは、組織人としての信用されないだけではなく、所属している組織自体も信頼を失い、契約を解除されたり、医療機関であれば、クレームや患者の減少につながったりする場面もあります。職業人として失敗やトラブルがあれば、自分の身に降りかかりますし、所属している会社や医療機関等に迷惑が掛かれば相当の処分を受けることになります。
■成果や評価など
学生の間は、テストの成績や部活動の結果で評価されます。また、課題等の範囲が決められ、終わりがあります。
社会人になると、日々の勤務態度や自らが役割を意識して行動することが必要で、自ら目標を設定して達成することが必要となってきます。当然のことですが、日々変わっていく社会情勢や医療情勢、技術を学んでいく姿勢が求められてくるでしょう。
■その他
学生時代は、SNS等の配信についても、個人の自由だったでしょう。
しかし社会人になると、SNS等の発信について、所属している組織の利益や関係先の方々のことも考えていかなければなりません。情報交換にはとても良いツールですが、個人情報の流出事故や安易な発信により社会的な信用を無くすことがないように節度を持って活用するようにしていきましょう。
このように考えていくと、やはりコミュニケーションツールとして、また幅広い方々と良い関係を築き、協働していくことを考えると、挨拶・表情・身だしなみ・言葉遣い・態度、等の接遇5原則がどれだけ重要なことか、ということが理解できるのではないでしょうか?
3~4時間の比較的長い時間の研修をする場合、緊張が持続せず、終盤に差し掛かると姿勢が崩れてしまう方も見受けられます。まずは身だしなみや姿勢から気を付けていくようにしましょう!
皆さんよりも、年齢も経験も上の方々と一緒に仕事をしていくのです。
スムーズなコミュニケーション、居心地が良い場づくりをするためにも、これまでの自分を見直してみませんか?
これは私とて同じ、毎年新人研修をすることにより私自身を見直していく時間でもあります。さあ、この5月の風のように爽やかに参りましょう!
医業経営支援課
著者紹介
- 医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント
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