コラム de スタディ

2021.05.21.
【医療介護あれこれ】査定されたものを患者に請求できる?(QAより)

Q.プラセンタ製剤「メルスモン」の査定を受けました。自費で患者から徴収することはできませんか?
さて、皆さんの医療機関では査定後、どのような対応を行われているでしょうか?

先日レセプト査定を受けた先生から、こんな相談を受けました。査定を受けてしまうと、その費用など、どうしたものか、悩みますよね。単価の高い薬剤などになると、本当に患者さんに支払ってほしい!と思ってしまいますよね。けれどそれは正しい対処方法でしょうか?

今日は査定後の対応について考えてみたいと思います。

結論から言うと「査定を理由に患者からの自費徴収することはできません」
これには二つの理由があります。

一つ目の理由は、我々保険医療機関には、「混合診療の禁止」というルールがあるということです。混合診療とは、一連の診療に対し、保険診療と自費診療とを混合させることを意味します。これは一部を除き、禁止されています。
では、認められている項目は何でしょうか?

皆さん、 「保険診療の理解のために」という文書が厚労省から出されているのはご存知でしょうか?
今日現在では、令和2年度版が最新となりますが、この48p以降に、「サービス等に対する実費徴収について」と題して、保険診療をしながら自費で請求できる内容が書かれています。保険診療上では、保険診療と自費、保険診療と介護保険の給付調整まで細かくルール化されているのです。

実費費用の徴収については、患者への事前の説明と同意が必要です。(51p~)
また、掲示の要件もあります。・・・つまりどのような場面で自費徴収するのかということを掲示しておかなければならないと規定されています。

この中で、「療養の給付と直接関係ないサービス」については実費請求ができるものとして事例が出されていますが、逆に「療養の給付と直接関係ないといえないサービス」については実費徴収ができないとされて、同じように事例がだされています。
例えば、入院環境によるもの(例えばリネン交換やエアマット等の費用)、衛生材料や手術前の剃毛等では算定ができないということがここで規定されています。
この中に、
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
2 .診療報酬の算定上、回数制限のある検査等を規定回数以上に行った場合の費用(費用を徴収できるものとして、別に厚生労働大臣の定めるものを除く 。)
3 .新薬、新医療機器、先進医療等に係る費用
ア 医薬品医療機器等法上の承認前の医薬品医療機器(治験に係るものを除く。)
適応外使用の医薬品(評価療養を除く。)
保険適用となっていない治療方法(先進医療を除く。) 等
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
とあります。
つまり、保険で査定をされたものについて、事後で自費徴収は認められていないのです。
先進医療や評価療養、厚生労働大臣の定めるもののみ、いわゆる混合診療として認められているということになります。
徴収する項目は、事前に九州厚生局に届け出をして、院内掲示を行い、患者に説明を行い・同意をえて初めて自費徴収できることになります。この届出の内容は、九州厚生局のホームページでも確認ができますし、毎年7月の病院報告の中で報告することが義務付けられています。(事後による説明、届出前の算定は認められていません)

二つ目の理由として、さらに、レセプト請求の場合は、一連の診療の流れが読み取れないと、査定になるケースが多いのです。
療養担当規則の中では、治療の方針として、「薬剤の使用に当たっては、医薬品医療機器等法承認事項(効能・効果、用法・用量、禁忌等)を遵守する」ことを求められています。
「経口投与を原則とし、注射は、経口投与では治療の効果が期待できない場合や、特に迅速な治療効果を期待する場合に行う。(療担第 20 条第4号)」と規定されていますので、注射薬剤投与前に内服治療がない場合は、レセプトにコメントが必要です。この辺りは最近厳しくなってきています。
ひらたくいってしまうと、「診療をしているか」ということを疑われる為と思います。
つまり患者の主訴により、若しくは求めにより単に処方等による対処をしているのではないか、病名はレセプト病名ではないか、ということが疑われると、療養担当規則違反ということになり、査定を受けることになります。検査が診療の根拠になるというケースが多いということです。
このため、他の医療機関での検査結果や健診結果等により診療を開始した場合には、カルテにもレセプトにもコメントを記載する必要があります。

皆さんの医療機関のレセプトは如何でしょうか?視点を変えてみていくことも必要かもしれません。

【参考資料】
■保険診療の理解のために_令和2年度版(厚労省)
https://www.mhlw.go.jp/content/000544888.pdf
・28p~ 「7 投薬・注射」
・51p~ 「サービス等に対する実費徴収について」

■添付文書「メルスモン」
https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00013426.pdf

医業経営支援課

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