【令和3年度介護報酬改定】老健の改定
長 幸美
アドバイザリー今回の改定、老健の方々はとても大きな改定になりました。
前回の改定では、5つの区分になり、ポイントの計算をして、機能強化型、基本形・・・と区分をされていましたね。今回、老健の役割をさらに深堀されているように思います。老健は医療法の中にある医療提供施設という位置づけになりますから、求められることは高くなってきているように感じています。
老健はショートステイ(短期入所療養介護)についても含めて、「かかりつけ医」との連携について、大きな動きがありました。
中間施設として、どんな役割を担っていくのか、しっかり考え、老健の先生方は役割が大きくなってきていることに注目していく必要がありそうです。
【基本報酬】
ユニット型、多床室ともに、基本報酬は上がっています。
在宅復帰・在宅療養支援機能の評価の指標について、老健施設としての役割(使命)・・・つまり中間施設としての役割が表れているように思います。
居宅サービスの実施数の中で、「訪問リハビリテーション」をしっかりと対応してもらいたいということが見えてきます。通所リハもいいけれど、在宅における支援としては在宅においてサービス提供できるものは必要ではないか、といわれているように思います。
また、リハビリ専門職の配置割合としては、STの配置を評価する形となっています。脳血管疾患等で言葉が出ない人、また食べるということに対して、意思の疎通についても求められていることも一つの現れだと思います。
【在宅強化型へのすすめ】
そもそも老健の役割等をしっかりと考えていくと、おのずと「在宅強化を行うことが必要だ」ということに気付かれるのではないかと思います。
介護報酬改定の内容(基本点数の増減)からもこの点は見えてくると思います。
【口腔ケアと栄養管理】
「口から食べる」ということに対して、リハビリも褥瘡も、大変重要視されています。
このため、随所に「管理栄養士」のかかわりを求める記載が見られます。
■口腔衛生管理体制加算・栄養マネジメント加算(廃止)
これは廃止となっていますが、基本報酬の中に含められた(包括評価)という考え方です。このため、口腔衛生の管理体制を確保し、スクリーニングを実施し、口腔衛生・栄養マネジメントにかかわる体制をしっかりととっていくことが必要です。
■栄養マネジメント強化加算
低栄養状態のリスクがある方については、管理栄養士の対応が必要になります。
常勤の栄養士に加えて、管理栄養士の配置は平均入所者70人について1人の常勤換算においてプラスαの人数が必要となります。常勤換算方式なので、しっかりと計算し、人員を確保していく必要があります。
【短期入所の役割】
介護老人保健施設が提供する短期入所療養介護について、冒頭でも少しふれましたが、大きな点数が付きました。これは、ちょっとした熱発や対応については、医療機関ではなく、「老健のショートで受け入れてほしい」というところの表れだと思います。こういった形で、「地域包括ケアシステム」のなかで役割分担してほしい、ということだと思います。
■総合医学管理加算(275単位/日、7日間限度)
これは老健にのみ認められた評価です。
計画外のショートステイの受入れを行った場合に7日間この加算を差し上げます、というものです。
算定要件には「診療方針を定め治療管理として投薬・検査・注射・処置を行うこと」「カルテに記載すること」とともに、「かかりつけ医に対し、利用者の同意を得て、診療状況を示す文書を添えて必要な情報の提供を行うこと」とあります。
つまり、かかりつけ医との連携をとってショートステイを受け入れる、ということになります。少々手間がかかりますが、老健と連携することにより、ある程度の医療提供により早期に確実に在宅への復帰を目指す、このために老健とかかりつけ医がしっかりと連携してほしい、というものだと理解しています。
■緊急短期入所受入加算(90単位/日、7日間)
(やむを得ない事情がある場合は最長14日間限度)
緊急入院の場合、上記275単位に加え、90単位が算定できることとされています。医療的な部分をサポートができることが必要になりますので、先生方の役割は大きくなります。
【地域との連携】
災害時の対応・・・BCPについては、やはり施設に入所されている方は、多少なりとも介護を必要とします。例えば「避難」はいかがでしょうか。施設職員だけでは難しいことも多々あると思います。そういった場合には地域の方々との力を借りることも必要だと思います。
こうした場合において、地域の方々のお力を借りるということになれば、日常的な連携が必要ではないか、ということが求められているわけです。
さて、如何でしょうか?
科学的な根拠を基に、管理栄養士さんはもとより、老健については、老健の役割(使命)をしっかりと理解し、医師の役割についても現状を見直していく必要が出てくるかもしれません。老健の皆さんは正念場ではないかなと感じております。
時期改定に向けて、LIFEを活用しつつ、しっかりと3年間を過ごしていただきたいなと思います。
<参考資料>
〇令和3年度介護報酬改定について(厚労省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411_00034.html
医業経営支援課
著者紹介
- 医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント
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