【医療介護あれこれ】「同一患家」と「同一建物」

長 幸美

アドバイザリー

前回、「往診」と「訪問診療」の違いについてお話をしてきました。
この中で、「同一患家」「同一建物」といった言葉が出てきましたので、今回はこの言葉の意味をしっかりと押さえていきましょう!

【同一患家とは】
これはわかりやすいと思います。「どういつかんか」と読みます。
意味合いは、ひとつの家の中に、患者が2人以上いる場合をいいます。
例としては・・・福岡さん宅で、夫の一郎さんと、妻の花子さんが同じ医療機関からの訪問診療を受けている場合などが、該当してきます。
この場合、一人目の一郎さんは「訪問診療」「往診」のどちらか算定ができますが、二人目の花子さん(妻)は再診料の算定となります。

【同一建物とは】
これは施設や集合住宅などにおいて、Aさん、Bさん、Cさんと別世帯の患者が同じ医療機関の訪問診療を受けている場合を指します。同じ日に訪問診療を行った場合、3人ともに在宅患者訪問診療料が算定できますが、3人とも同一建物居住者の在宅訪問診療料が算定されます。従って、3人共単価が低くなります。

同一建物とは、一つ屋根の下・・・という考え方でしたが、前回の改定から、「同一敷地内」「渡り廊下でつながっている場合も、同一建物居住者と考えられるようになりました。
このため、どういった形状の集合住宅か施設かというところも重要になってきました。

この場合、同一建物居住者に該当しないケースが3つあります。
① 往診を実施した場合
② 末期の悪性腫瘍と診断された後に、訪問診療を開始した日から60日以内の患者の場合
③ 死亡日から溯って30日以内の患者の場合

【単一建物居住者】
もう一つ忘れてはならない言葉に「単一建物居住者」という言葉があります。
これは、一つの建物に居住する者のうち、一つの保険医療機関が在医総管・施医総管を算定する者の人数のことを指します。
これには「1人の場合」「2人から9人以下の場合」「10人以上の場合」という3区分があり、診療頻度と病名・状態により3区分、組み合わせることにより9区分に分かれています。
このことはおいおい説明をしていきたいと思いますが、この病名状態の3区分は、重症度や疾患などが、「厚生労働大臣が定める状態(特掲診療料の施設基準等別表第8の2)」の中で、以下のように定められています。

キャプチャ

(出典:「厚生労働大臣が定める状態(特掲診療料の施設基準等別表第8の2)」より)

在宅医療がややこしいといわれる所ですが、この言葉の意味はとても重要ですので、しっかりと押さえておきましょう!

医業経営支援課

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