【令和3年度介護報酬改定】概要②「地域包括ケアシステムの推進」

長 幸美

アドバイザリー

さて今回の改定の重要な視点は「医療と介護の連携」ということになると思います。
介護保険の理念は、「自立支援」であるということは何度も申し上げている通りです。
さらに、これは住み慣れた場所で(地域の中で)、自分らしい生活を最期まで送れるように支援する仕組み・・・つまり地域包括ケアシステムを地域ごとに考えていこう、というところにつながってきています。

この中で特に注目していくところを、いくつか見ていきましょう。

【認知症への対応力向上】
85歳以上の高齢者の2人に一人が認知症の時代が来るとも言われています。
また、認知症の対応については、認知症の特性を知っておく必要があるとも言われています。こういったことから、介護にかかわる職員全員基礎研修の受講を義務付けていくというもので、資格職以外の職員は、6時間のEラーニングを受けることが求められます。
また、この状況は介護サービス情報公表制度において公表することとされています。

【介護の質向上】
いわゆる今回の改定の目玉の一つである「LIFE」の導入です。これまでVISIT/CHASEによりデータの提出は行われていました。しかしこのLIFEの特徴はただ、データ提出をするだけではなく、フィードバックにより、介護サービスの見直しを行い、介護サービスの質の向上を図っていく・・・つまりPDCAを回していく、ということを求められています。
200項目に上る情報を入れていく必要がありますが、今回の改定ではほとんどの重要な加算について、このLIFEの活用を求められています。やらないわけはいきません。
皆さん考えている暇はないと思います。早速新規登録をされることをお勧めします。

【看取りへの対応】
看取りの施設としては、特養、介護付き有料老人ホーム、介護医療院が思い浮かぶと思います。このほか認知症グループホームにおいても看取りへの対応が求められてきました。ACPが注目されて久しいのですが、皆様どのように対応されていますでしょうか?
今回の改定で、特養など、看取りの対応に対し、30日を超え45日まで加算がついてきました。何よりも医師・看護師等の医療職がいない状況での看取りは不安なものです。そこにどう連携していくかが重要になってくるかもしれません。

【医療と介護の連携】
地域の中で暮らし続ける為に必要なことといえば、「食べること」
リハビリを行うにしても、感染対策にしても、第一は口から食べて、栄養失調にしないことだと思います。先ほどの認知症についても、しっかりと栄養を取り運動(歩く)ことが効果があるということも言われてきています。
その中で、重要なのが、やはり「口腔機能」「栄養管理」です。このため、歯科との連携や管理栄養士との連携が求められてきています。
あちらこちらに栄養アセスメント、スクリーニング、等の加算が盛り込まれており、これらと連携していかない状況はありえない、ともいえます。

【在宅サービスの機能と連携の強化】
この中では、退院・退所当日の訪問看護や看護体制強化加算の見直し、緊急時の宿泊ニーズへの対応が挙げられてくるのではないでしょうか。
具体的に注目しているのは、看護体制強化加算について、グループホーム等で委託して看護支援をしてもらっていると思いますが、具体的にかかわりを持ってもらうというところが必要になってきています。緊急時の宿泊ニーズについては、医療機関だけではなく、特養でも基本点数がかなり上がってきています。

【ケアマネジメントの質向上】
さて、ケアマネジャーさんにとって、前回改定から、公平中立や質の向上、果てにはケアプランのAIを活用して立てていくなど、逆風ともいえる状況が続いていると思いますが、これは皆さんの腕の見せ所ではないでしょうか。
ICTやデータ等を活用し、医療・介護連携の要としての活動を、これまで以上に求められているように思います。

こういった視点をもち、それぞれの細かい改定内容を見ていただきたいと思います。
また、LIFEをはじめ、感染対策、BCPなど、やらなければならない事項は増えています。
これまでと同じようなやり方をしていたら、いずれ業務過多で破綻していくのは見えていますし、「できない、忙しいから」といってやらなければ、三年後の改定がこれまで以上に厳しい状況になることは予測できます。

今回の改定は加算がポイントになります。
加算は皆さんへのメッセージだと思って、前向きに取り組んでいきましょう!
求められることも、やることも増えていきます。従って、業務改善は必須になると思います。LIFEの仕組みを使い、業務内容を見直し本当に必要なサービス提供ができているか、見ていくことが今後につながっていくように思います。

医業経営支援課

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