【医療介護あれこれ】在宅生活で利用できる介護保険サービス①

長 幸美

アドバイザリー

現在「在宅での看取り」が推奨され、各地で様々な取り組みがされていますが、そもそも、自宅で生活していくうえで、どのようなサービスが利用できるのでしょうか?

こういったことを医療機関が知っておくことが、とても重要になってくると思います。
うちは医療機関だから、介護のことまで知らないよ!といっている方向けに、訪問診療と関連が深い介護サービスをピックアップして、3回シリーズで、考えていきたいと思います。

第1回目は、自宅に居ながら受けることができるサービスについて、考えていきたいと思います。

自宅に居ながら受けることができるサービスと聞いて、どんな介護保険サービスが思い浮かぶでしょうか?訪問系のサービスが主たるものになりますが、主には、①訪問介護、②訪問看護、③福祉用具貸与があげられると思います。

【① 訪問介護】
いわゆる「ホームヘルパー」に自宅に来てもらい、身の回りのお世話や介助をしてもらうサービスになります。サービスを行う方は介護福祉士や訪問介護員になります。
介護を要する人が在宅で生活できるように、一緒に掃除をしたり、食事の用意をしたりする家事援助や、身体的な介助(食事の世話や、排せつ・入浴の介助、等)を行うことが主たることですが、要介護者・要支援者の身体的能力に応じて、自宅にいても自立した日常生活を送れるように生活を支援することが目的となります。

要支援者に対する「介護予防訪問介護」については2018年3月までに段階的に市区町村により行われる「介護予防・日常生活支援総合事業」に移行することになっていて、介護保険サービスの枠からは外されることになっています。

【② 訪問看護】
看護職員が自宅へ訪問し、病気や障害を持った方が住み慣れた地域やご家庭で、その人らしい療養生活が送れるように支援するサービスです。
医療機関や 地域の訪問看護ステーションから、看護師や理学療法士・作業療法士等がその方が生活する場所へ訪問し、医療的ケアを提供します。

後期高齢者については、介護保険が優先されますが、医療的処置や厚労省が定める疾患や状態の場合は、医療保険が優先されますので、介護保険の枠から外れていきます。
つまり、医療保険を利用した訪問看護には制限があるということです。
この医療保険利用のルールを知らなければ、利用者は十分な医療的サポートを受けられないことになります。また、介護保険の枠がなくなり、他のサービス提供にも支障が出てきますので、皆さんしっかり押さえておきましょう!

◆基本ルール
・1日1回、90分程度まで、週3回まで、看護師は一人対応

◆特別ルール・・・医療保険での訪問看護が可能な場合
・特別訪問看護指示書が出された場合
・「厚生労働大臣が定める疾病等」に該当する場合
⇒難病、末期の悪性腫瘍が該当する

医療機関であれば、「みなし指定」となりますので介護保険事業所としての指定申請の必要はありません。従って、訪問看護事業所のように、「看護職員2.5名以上」という縛りもありません。必要に応じて、訪問することが可能です。
しかしながら、介護保険における「加算」算定については申請が必要になりますので、ご注意ください。

また、訪問看護は、退院当日から訪問看護が利用できます。さらに退院直後は14日間特別訪問看護指示で毎日訪問看護に入り、退院後の生活のサポートを強化することも可能です。退院とともに、医療機器の取扱い・交換が必要な場合や、点滴がしばらく必要な状況、処置が必要な状況などがあっても、引き継いで行うことも可能ですし、病棟の看護師が同行してもらうことも可能です。是非知っておいてほしいものです。

【③ 福祉用具貸与】
利用者の日常生活における自立支援や介護者の負担軽減を図るためのサービスです。
要介護1以上の認定を受けた方が対象になりますが、車いすや車いすの付属品、特殊寝台及びその付属品(マットレス、サイドレール、スライディングボード、等、エアマット、手すり、歩行器及び補助杖、移動用のリフト、等があります。要介護度により、利用できるものやできないもの等が分けられています。

また、手すり等住宅の改修を伴うものについては、別途保険適応がありますが、ケアマネジャーに相談するとよいでしょう。

このほかには、訪問型の介護サービスには、「訪問リハビリテーション」「訪問入浴」等があります。ご興味がおありになる場合、こんな場合に利用できるかな、という場合には、ケアマネジャーに相談しましょう!

医業経営支援課

制作者の直近の記事

コラム一覧に戻る
お問い合わせ

PAGE TOP