【平成30年度診療報酬・介護報酬改定】個別事項「外来医療(その3)」について①

長 幸美

アドバイザリー

11月に入り、急に冬の気配が忍び寄り、風も冷たくなりましたね。
中医協・社保審でも、改定に向けて厳しいお話がいろいろと出てきています。
今回は平成29年11月1日に行われた中医協の協議の中から、考えてみたいと思います。

前回改正の中で持ち越しとなった「附帯意見」の中でかかりつけ機能を考えることと、遠隔診療、薬剤の使用について協議が行われています。

今回は、①生活習慣病の重症化予防、②遠隔診療について述べます。
次回は、③後発医薬品の使用促進、④多剤・重複投薬等の適正化について述べます。

 

【生活習慣病の重症化予防】
かかりつけ医と専門医療機関等の連携として、「糖尿病の重症化予防」については、診療連携パスが構築・活用されています。

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平成28年度の診療報酬改定において、重症化予防の取り組みとしては、進行した糖尿病性腎症に対する運動指導の評価人工透析患者の下末梢動脈疾患重症化予防の評価がおこなわれています。
この重症化予防については、介護予防の評価でも検討されています。

糖尿病の重度化に加え、高血圧症の薬剤使用についても議論をされていますので、該当する先生方はぜひ資料をご覧いただけたらと思います。

出典:20171101中医協資料「外来医療(その3)」より

 

これら生活習慣病の重度化予防の観点から、より効果的・効率的な指導管理の取組み
① 療養計画の内容(検査値の目標、特定健診・特定保健指導の受診勧奨等)
② ガイドラインやデータに基づく診療支援等
を含めて、生活習慣病管理料の見直しを検討してはどうかとの提案がされています。

同時に糖尿病透析予防指導管理料における腎不全期指導加算について、より糖尿病性腎症の重症化予防に資するよう、対象患者の見直しを検討してはどうか、との提案もあります。

 

【遠隔診療】
遠隔診療としては
① 心臓ペースメーカー等の遠隔モニタリングの評価
② 診療情報提供書等の文書の電子的な送受に関する記載の明確化
③ 画像情報・検査結果等の電子的な送受に関する評価
これら三点を中心に、診療報酬として評価が付きました。

また、医療従事者の人材確保の観点から人的な配置要件の緩和として、
① 脳卒中ケアユニット入院医療管理料の医師配置要件の見直し
② 画像診断管理加算の夜間等における負担軽減
医師の配置要件の緩和が行われてきました。

出典:20171101中医協資料「外来医療(その3)」より

 

現在議論されている「規制改革実施計画」の中では、遠隔診療の充実を図ることが必要として、糖尿病の管理指導について導入を検討されていますし、「未来投資戦略2017」の中ではAI等のICTを導入し、例えば「オンライン診察を組み合わせた糖尿病等の生活習慣病患者への効果的な指導・管理や、血圧・血糖等の遠隔モニタリングを活用した早期の 重症化予防等、対面診療と遠隔診療を適切に組み合わせることにより効果的・効率的な医療の提供に資するもの」については、次期診療報酬改定で評価を行うこととされています。

介護職員の確保が難しくなってきている今、下記の資料のように最新の技術を取り入れることにより、医療現場・介護現場を支えていくことに対し、評価がついてくることも十分に予測されます。

出典:20171101中医協資料「外来医療(その3)」より

 

また、この中で、とても興味深い報告がありました。

福岡市が「福岡市健康先進都市戦略 「かかりつけ医」機能強化事業について」、超高齢社会への対応「福岡100」プロジェクトの中で、実証実験事業を行っていたということです。

この中で、「オンライン診療」の定義を行い、「対面診療」を補完し、診療の質と効率性を高めるものとして、有効性を検証されています。

この中では、有効性を認める中でも、
一定程度の受診期間等を求める必要があること
事前の治療計画の作成・患者同意の取得等を求める必要があること」などをあげるとともに、電話再診との整理を行うことが必要であるとの提言がされています。興味があるところですし、今後の動向を注目したいと思います。

出典:20171101中医協資料「外来医療(その3)」より

 

◆参考資料◆
中医協(20171101)

 

 

経営支援課

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