【医療介護あれこれ】 助け合いのまちづくり~総合事業~①

長 幸美

アドバイザリー

皆さん『総合事業』ってご存知ですか?

今年の介護報酬改定で、要支援に該当する方の予防介護サービスが、平成29年度までに自治体が行う『介護予防・日常生活支援総合事業』に移行することが決まりました。
今現在は、移行期間ですが、『訪問介護』や小規模な『通所介護』から外されていくことが決まっています。

住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう、『医療・介護・予防・住まい・生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステムの構築』を実現することが大事だとされ、市町村が地域の自主性や主体性に基づき地域の特性に応じて作り上げていくことが必要であるとされています。

地域包括ケアシステム      出典:介護予防日常生活支援総合事業の基本的な考え方(厚生労働省老健局振興課)

また、その実現のためには、高齢者自身や家族による対応『自助』だけではなく、ボランティアや地域住民の取組『互助』が重要になるとされています。
また、生活支援や介護予防サービスでは『高齢者の社会参加』『高齢者が社会的な役割を持つ』ということが、高齢者の生きがいにつながっていきます。
それらを『組織的につなぎ合わせていく』ことが必要であるとされ、『生活支援コーデネーター(地域支えあい推進員)』の配置により、介護保険法の地域支援事業に位置付けられるとされています。

支え合い      出典:介護予防日常生活支援総合事業の基本的な考え方(厚生労働省老健局振興課)

では、この『総合事業』の中で医療機関がどのようにかかわりを持っていけばよいのでしょうか?

今回の診療報酬改定の中で、『急性期疾患』や『慢性期疾患の急性増悪』などで医療が必要になった場合、入院で集中的な医療を受け、速やかに生活の場(在宅)へ戻り(退院)、『生活を続ける』ためにどうしたらよいのか、ということが議論されています。
自宅へ戻れば病院の中のように『頻回に定期的な見守り』をうけるということは望めなくなります。高齢者でなくても不安なことがたくさん起ってくるでしょう。
『医療』としてはこの『地域の中での生活』という部分では『医療の専門家として医学管理を行いながら、地域の中での生活をサポートしていく』ということがとても重要になってきます。今までの病棟の考え方とは少し異なってきますね。

『医療が変われば、介護も変わる。また、介護が変われば、医療も変わる』

患者さんの流れもそうですが、医療者の立ち位置が変わっていくことも必要になってきます。平成28年度診療報酬改定では、「地域医療構想を後押しする改定」であると位置づけられているといわれています。
皆さんの医療機関で、介護事業所でどのように考えられますか?

次回は、具体的な取組事例をご紹介したいと思います。

<参考資料:クリックすると別ページにリンクします>
介護予防・日常生活支援総合事業の基本的な考え方(厚生労働省老健局振興課)
介護予防・日常生活支援総合事業ガイドライン(概要)(厚生労働省老健局振興課)

経営コンサルティング部
経営支援課

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