コラム de スタディ

2018.08.28.
有期契約社員と正社員との労働条件の相違の違法性

今回、紹介する判例の特徴です。

郵便事業に従事する有期雇用契約の時給制契約社員と正社員との間の労働条件について、年末年始勤務手当、住居手当の一定割合、夏期冬期及び病気休暇における相違(不支給ないし不付与)を労契法20条違反の不合理な相違と認めた地裁判決です。

 

■日本郵便事件 東京地裁 平成29年9月14日判決

 

【事件の概要】

正社員と契約社員で就業規則・給与規定が異なっており、正社員のみに支給または付与されているものがあった。

①外務業務手当、②年末年始勤務手当、③早出勤務等手当、④祝日給、⑤夏期年末手当、⑥住居手当、⑦夏期冬期休暇、⑧(有給の)病気休暇、⑨夜間特別勤務手当、⑩郵便外務・内務業務精通手当

これらの点が不合理な労働条件の相違にあたるとして、労契法20条に違反すると主張した。

 

【判断】

・  ①外務業務手当、③早出勤務等手当、④祝日給、⑤夏期年末手当、⑨夜間特別勤務手当、⑩郵便外務・内務業務精通手当については、相違が不合理なものとはいえない

 

 

・  ②年末年始勤務手当については、年末年始という最繫忙時期の勤務の労働に対する対価という性格に照らし合わせれば、時給制契約社員に対し、まったく支払われない点で不合理

・  ⑥住居手当の支給有無については、転居を伴う配置転換のない正社員の新一般職にも支給されているのもかかわらず、同じく転居を伴う配置転換のない時給制契約社員に対して住居手当がまったく支給されない点で不合理

・  ⑦夏期冬期休暇については、正社員と時給制契約社員を比較すると最繁忙期が年末年始の時期であることには差異がなく、取得要件や取得可能な日数等について違いを設けることは別にして、全く付与しない合理的な理由は見当たらないため、不合理

・  ⑧有給の病気休暇については、労働者の健康保持のための制度であることに照らせば、時給制契約社員が契約更新を重ねて全体としての勤務期間がどれだけ長期間になった場合でも、まったく付与されない点で不合理

 

・  労契法20条に対しての不法行為は成立するが、無効とされた労働条件の不合理性の解消は、従前の労使交渉の経緯も踏まえた労使間の個別的あるいは集団的な交渉の結果も踏まえて決定されるべきであることに照らし、有期労働者の労働条件が無期契約労働者の労働条件によって自動的に代替えされることは認められない。また正社員の労働条件が契約社員に適用されると解することはできない。

 

・  正社員に対する手当は、正社員の福利厚生を図り、長期的な勤務に対する動機付けを行う意味も有することからすると時給制契約社員の手当の額が、正社員と同額でなければ不合理であるとまではいえない。➁年末年始勤務手当については正社員に対する支給額の8割相当額を、⑥住居手当については正社員に対する支給額の6割相当額を損害と認めるのが相当である

 

【ポイント】

・  労働契約法20条は、有期契約労働者(契約社員)と無期契約労働者(正社員)との間の労働条件の相違が不合理なものであることを禁じる規定です。同条は同一労働同一賃金の考え方を採用したものではない、とこの判決では述べています。

・  また、この判決では、労契法20条が禁止する不合理な相違は、期間の定めの有無に関連して生じたものであることを要していると述べています。

 

人事労務課

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