
令和6年度診療報酬改定~入院時の食事療養費の引き上げについて~
長 幸美
医療介護あれこれ本コラムの内容は、執筆時点での法令等に基づいています。また、本記事に関する個別のお問い合わせは承っておりませんのでご了承ください。
令和6年度の診療報酬改定については、皆さんご存じの通り、物価高の影響が大きくあった改定だったことが印象的でした。基本方針の第一番目に「物価高騰・賃金上昇」や「経営の状況や人材確保」が課題とされたことはこれまでにはなく、昨今の社会状況を色濃く反映している中身だったと思います。
さてその中でも、コロナ禍以降の物価高についてはかなり厳しいものがあり、電気代やガス代をはじめ、食材費や輸送コストの増大など家計への影響が大きいとされています。この状況は医療機関においても変わりがないのではないかと思います。
入院時の食事療養費の背景
入院時の食事療養費については平成9年の改定において1日あたりの金額が1920円に引き上げられたあと、平成18年4月の改定において1食当たりで算定するように変更され、金額は据え置かれていました。
コロナ禍以降の物価高騰において、厳しい状況は続いており総務省が実施した「消費者物価指数」や「家計調査」からも食料支出の増加はコロナ禍前に比べて、約20%程度上昇しているという結果が出て、昨年末(令和6年12月25日)に開催された中央社会保険医療協議会の総会でも議論の資料として提出されていました。
令和7年度改定中間年における食事療養費の引き上げ
令和6年度改定においても、1食あたり30円引き上げられましたが、その後も続く食材費の高騰の中で、医療現場の食事提供に携わる管理栄養士等は「価格変動が少ない食材の使用頻度を増やす」ことや「冷凍食品・加工品を活用する」ことなど、コストを抑える努力を続けられています。しかし限界があるという声も聴かれています。何よりも、治療の一環である食事の質の低下が心配され、改定中間年において、さらに1食あたり20円引き上げることになったようです。

これらの見直しについて、施行時期や低所得者に関する配慮については、今後、中央社会保険協議会の中で話し合われ、次期の発表等が行われることと思います。
これからも引き続き中央社会保険協議会の情報を注目してみていきたいと思います。
<参考資料> 令和7年1月6日確認
■中央社会保険医療協議会 総会(第601回) 令和6年12月25日開催 ⇒(こちら)
⇒3.中間年改定の年に行う期中の診療報酬改定について ⇒資料は(こちら)
①入院時の食費の基準の見直し
② 歯科衛生士や歯科技工士のタスクシフト、手間への評価の見直し
③ 長期収載品の選定療養化や医薬品供給不安に伴う服薬指導の評価の見直し
⇒総-3_参考資料 ⇒大臣折衝事項(抄)は(こちら)
2025年1月6日
著者紹介
- 医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント
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