あなたの「身だしなみ」自己満足になっていませんか?
~医療機関や介護事業所における「身だしなみ」~

長 幸美

医業経営支援

第一印象を左右するといわれている身だしなみ・・・皆さんはどのようにお考えでしょうか?
医療機関や介護事業所における「身だしなみ」について、考えてみたいと思います。

身だしなみとは?

「身だしなみ」とは、身を嗜むという意味があります。つまり、身支度を整えるだけではなく、その態度がふさわしいかどうか・・・ということも重要な点になります。
そしてこれは、社会人としての基本的なマナーであると同時に向き合う相手に対する礼儀でもあります。対人業務が多い、医療介護の職場では、身だしなみを整えることが、患者様や利用者の安心安全に繋がることもあります。

 ※過去に書いた記事「身だしなみ」はこちらです。

身だしなみは第一印象を左右する

あなたが初めて対面する方にどのような印象を持たれているか、考えたことはありますか?
あなたが初めて会う方の最初に見るのは「どこ(なに)」ですか?

「身だしなみ」を考える中で、医療機関や介護事業所での第一歩目は、「清潔感」ですね。
衛生的であるかどうか、機能的であるかどうか、ということが「ユニフォーム」の基本ですが、そのユニフォームがきれいに洗濯されていることは、もはや当たり前のこと、それと同時に、お風呂に入り、髪の毛も綺麗に洗っているのは当たり前のことです。

そのうえで皆さんに求められていることは、「清潔感」があるかどうか、ということになってきます。
例えば、ユニフォームにはアイロンをかけることや髪がバラバラにならないようにまとめることなどが「清潔感」を演出する一つになります。

また、ユニフォームや髪形がくしゃくしゃだった場合、清潔感も失われるどころか、だらしない印象になりますね。そのような医療者に相談したいと思うでしょうか? 
相談したくなくなると思いますし、実はモンスターペイシェントといわれるクレーマーに隙を与えることにもなってしまいます。

身だしなみの基準は?

身だしなみ基準を定め、事前に伝えている医療機関が増えてきました。
実は、いろいろな問題が発生して、その都度注意していても、「聞いてない!」「決まりがあるんですか?」と逆に言われてしまい、事前にルールを明確にしようとしている医療機関が増えているというのが現状でしょう。

こちらに一例を載せています。
この身だしなみの基準というものには、完璧はありません。
何故なら、ヒトにより、その時のシチュエーションにより相手に求める基準が変わってくるからです。
できるだけ多くの方が不快に思わない基準・・・が大事になってくるでしょう。

最近、医療機関でも注目されているのが、ディズニールックです。いわゆるディズニーランドの身だしなみ基準ですが、かなり具体的に記されています。夢の国でも、ゲストに「夢」をその夢の世界の主役として味わっていただくために、キャストには厳しいルールがあるのですね。個性をなくせというわけではありません。しかし、このルールの中で、ゲストに最大限楽しんでいただくためには、やはりそれなりのルールが必要であるということでしょう。
これがすべてだとは思いませんが、参考にはなるのではないでしょうか?
興味がおありの方があれば、インターネットで検索していただけるとすぐに出てくると思います。

医療機関の実際の身だしなみ基準の例を記載しています。参考になさってください。

頭髪お辞儀をしたときに髪で顔が隠れないようにまとめましょう。
・前髪は目にかからない長さにしてください。
・名札が隠れないように後ろで束ねましょう。
・サイドはすっきりまとめる。結ぶ場合は耳程度の高さで。
・自然なスタイルで(極端なアレンジ、無造作感はNG)
ヘアカラー自然な色合いの髪色にしましょう。
・日本ヘアカラー協会が示すレベルスケールでレベル1~10まで
 (極端な色合い、奇抜な金髪はNG)
お化粧清潔感のある自然なメイクで、健康的に!
・ラメ入りや金・銀、エクステ、アイメイクはNG
手指指の先端より3mmを超えないこと。
・マニュキュアは透明か肌の色に近い色のみ(濃い色はNG)
 ラメやパール、デザイン性の高いもの、つけ爪はNG
眼鏡・
コンタクトレンズ
眼鏡のフレームはシンプルなもの
コンタクトレンズは目の色が自然に見えるもの。カラーコンタクトはNG
黒目の輪郭を極端に強調するものもNG
ユニフォーム名札を左胸の定位置につける
ボタンはきちんと留め、洗濯・アイロンをかけましょう。
カーディガンは薄い色、下に着るTシャツは派手にならないように。
足元ストッキングは薄い肌色、生足・ソックスはNG
シューズは薄い色で踵は踏まないこと、スリッパ・ミュールはNG
その他香水はつけない
刺青(タトゥー)、アクセサリーはNG(結婚指輪はよい)
マスクは鼻マスク・顎マスクにならないようにしましょう。
身だしなみ基準の例

身だしなみはおしゃれではない

身だしなみは「プライベートなおしゃれ」とは違います。従ってその評価をするのは、第三者です。
あなたの様子を見て、「この病院は・・・」「このクリニックは・・・」と、あなたの身だしなみ評価が病院やクリニックの評価になってしまうことが多々あります。
・・・と考えると、うっかりしたことはできないですよね。

おしゃれはアフターファイブで楽しんでいただくとして・・・

患者さんやそのご家族が医療機関に求められているのは、「私のつらさをわかってほしい」「不安な気持ちを理解してほしい」「治るのかしら」「これからどうなっていくんだろう・・・」という不安感にまつわるものです。そういった不安な気持ちを「この人に相談してもいいんだろうか・・・」「この医療機関に任せていてもいいのだろうか?」、という思いで見られていることは意識したほうが良いでしょう。

厚労省が数年前にアンケート調査をされていましたが、医療機関を選ぶ基準がここ10数年で変化してきています。20年前には、医療機関を選ぶ第1番目には「医師の技術の高さ」が入っていました。いわゆる「神の手を持った先生」に診てほしいと思っていたわけです。
しかしここ数年、実は「事務を含む医療スタッフの対応の良さ」が1位になってきているのです。

クレーム対応にも効果的

もともと警察官で、ある大学病院のクレーム対応職員として勤務されている方にお話をきく機会がありました。お会いしたのは、真夏で確か7月の終わりか8月のはじめごろだったと記憶しています。
その暑さの中、その方は、三つ揃えのスーツを着用されていたのです。その方は、ワイシャツもノリが効いていて涼やかな色のネクタイを締めておられましたが、相当な暑さ・苦痛だと思います。

この暑いのにスーツ・・・しかも三つ揃えなんて・・・しかもズボンですら皴ひとつない・・・!!
少々驚き、お声をかけたところ、こんなことを話してくださいました。

「身だしなみの乱れは、心の乱れだけではなく、「隙」ができているのです。そのをかぎ分けてクレイマーやモンスターペイシェントは入り込んで暴れていきます。身だしなみの乱れは心の隙をついてくださいと公表しているようなものです」・・・と。
身だしなみって奥が深いなあ・・・と思うわけです。

人生いろいろ、楽しみもいろいろ

ここまで、接遇面から「身だしなみ」ということの大事さをお話ししてきました。
・・・とはいえ、若い方はおしゃれがしたいと思いますし、少しでも自分をよく見せたいと思う気持ちはわかります。しかし、役割と機能性等を考えると、仕事中の身だしなみはとても大事です。
いかに機能的に、「この人に相談したい」「この医療機関に来てよかった」と思わせるために、様々なアンテナを張って他の方と一味違ったサービスの提供をしてみるのもよいのではないでしょうか?

私は笑顔で勝負する!
私はレスポンスの良さで!
私は挨拶プラスαの一言の言葉かけをする!
私は毎日アイロンがけをする!
私は整理整頓を頑張る!
私はどんな時も目線の高さを合せ話をきく!

何か一つきらりと光るものがあると、同じルールの中でも、個性は光ってきます。
おしゃれはアフターファイブで楽しんだらいいと思うのです。

あなたの身だしなみは、医療機関に求められているものに合っているでしょうか?
このコラムを機会に、一度、見直してみませんか。

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