地域包括ケアシステムにおける診療所の役割①

長 幸美

医業経営支援

1月の最後の日曜日、福岡では朝から冷たい雪が降る中・・・宮崎県で行われたセミナーに参加してきました。地域連携では有名な木佐貫篤先生のご講演ということと、久々のリアルセミナーにワクワクしつつ、途中の道路状況が心配でドキドキしながらの移動でした。
この移動に関しては別の機会にお話しすることとして・・・。

今回のセミナーは、今現在の私たちが置かれている立ち位置や今後の診療所経営、地域医療を担うものとして、考えていかないといけない内容がたくさん含まれていました。
話の内容を一部、共有したいと思います。

■連携なくして21世紀の病医院経営なし
地域医療連携は、時代とともに変化してきました。
皆さんもご存じの通り、連携は、前方連携から後方連携の時代を経て、現在「社会連携」の時代へと移り変わっています。
患者の立場に立つと、病院は非日常の世界です。「治療のため」「医療上必要」という一言で、我慢を強いられることもあります。また、自宅に帰っても、後遺症や完治できない場合もあり、コントロールが必要になります。

地域の生活を支えていくためには、地域で安心して暮らせる環境が必要です。
安心できる暮らしって、どんな生活でしょうか?皆さん考えてみてください。
ご近所さんとの関係もあるかもしれませんが、自分の生活圏の中に、学校や商店と同じように、ちょっと相談できるお医者さんがいらっしゃると、安心できますよね?

■「地域連携」の歴史をひも解く
地域医療連携は「前方連携」・・・つまり、紹介患者を受け入れることから始まりました。
次に、診療所から高度な専門医療や急性期医療への流れができてきてからは、治療後に社会復帰のためのリハビリ支援が必要になってきました。これが「後方支援」の視点です。また、医学の進歩とともに、治療を継続しながら学校に行ったり、社会活動を行ったりできるようになりました。このため「地域包括ケアシステム」・・・つまり、みんなが地域の中で暮らしていくために必要なサービスを提供する仕組みが、とても大事になってきたのです。

少子高齢化社会の中で、すべてを一医療機関で行うことは難しいのです。このため、それぞれの役割・・・看護職員、介護職員、そして、リハビリ専門職や管理栄養士、薬剤師、等・・・医療と介護(ケア)や地域の方々が共存・協働していく時代へと変化してきています。

■地域マネジメントの第一歩・・・「外来感染対策向上加算」
令和4年4月度の改定で、「外来感染対策向上加算」が新設されました。各医師会や地域の中核病院が色めきだった点数だと思います。
病床ひっ迫という状況や緊急車両のたらいまわしを重くとらえ、日常医療の中で地域の中核病院は、自院の感染対策はもちろんのこと、地域の医療機関と連携し、「地域の感染対策も実行する!」というミッションがあると思うのです。地域の医療提供体制がひっ迫しないように支援することが必要になってきたのです。
そう考えると、この「外来感染対策向上加算」少し見え方が変わってきませんか?

次回は、このような社会の流れ、地域連携の流れの中で、大病院の役割や地域の診療所に求められていることを考えていきましょう。

医業コンサル課 長幸美

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