在宅療養指導管理料

長 幸美

医業経営支援

在宅医療には二通りあり、ひとつは、患者の住まいに訪問して行う医療提供に対する「在宅患者診療・指導料」と、患者やその家族が自宅等で治療(注射や処置等)が必要な場合の「在宅療養指導管理料」があります。
今回は後者の「在宅療養指導管理料」について、基本的な事項(通則)をお話していきたいと思います。

■在宅療養指導管理料とは・・・
在宅で療養している患者・・・つまり入院していない患者について、医学的な処置や指導等が必要な場合に、医師や看護師等が個別的に指導を行った場合に算定できるものです。
点数表の文言を借りると・・・「指導管理料を算定すべき指導管理を受けている患者様又は器具を装着しておりその管理に配慮を必要とする患者様に対して、医師の指示に基づき保健師、助産師又は看護師が在宅療養上必要な指導を個別に行った場合に、患者1人につき月1回(初回の指導を行った月にあっては、月2回)に限り以下の点数を算定できる」とあります。

一例をあげると、糖尿病の患者であって在宅で自己注射が必要な場合や、COPDなどの患者であって在宅で酸素吸入が必要な場合、食事が経口で摂取できない患者の経管栄養や中心静脈栄養、等があり、現在では、33項目あります。

■対象患者は?
「当該指導管理が必要かつ適切であると医師が判断した患者」となっています。
患者又は患者の看護に当たる者(つまり家族や施設職員)に対して、当該医師が療養上必要な事項について適正な注意及び指導を行った上で、当該患者の医学管理を十分に行い、かつ、各在宅療養の方法、注意点、緊急時の措置に関する指導等を行い、併せて必要かつ十分な量の衛生材料及び保険医療材料(以下この項において「衛生材料等」という。)を支給した場合に算定する、とされていて、来院した患者の看護者に対してのみ当該指導した場合には算定できないものとされています。

それぞれの指導管理料により、対象疾患や対象の状態が変わってきますので、詳細な内容については項目ごとに確認するようにしてください。

■基本的事項(通則)について
算定にあたってまず、全体のルールを知りましょう!

①特に規定する場合を除き、月1回に限り算定する。

②C101~C121の同月内の併算定は不可である。
「本区分の中に上がっている項目のうち2項目以上の指導管理を行っている場合は、主たる指導管理の所定点数により算定する。」と規定されています。
つまり、2つ以上の指導管理が必要な場合は、指導管理料は一つだけ(主たるもの)算定し、2つ目の指導管理については必要な材料代や加算のみ算定することになります。

この中にただし書きがあり、在宅療養支援診療所(病院)から紹介を受けた医療機関で、在宅療養診療所と異なる指導管理を行った場合及び在宅療養後方支援委病院が連携保険医療機関と異なる在宅療養指導管理を行った場合は、紹介月に限りそれぞれの医療機関で算定することができます。
この場合でも、関連性が高い組み合わせの場合は併算定できないルールがありますので、注意が必要です。

③退院時に行った指導管理は入院でも算定できる。
入院中は「在宅医療」にかかる保険請求はできないものとされていますが、退院時には、退院後の指導を行うことに対し、算定が可能とされています。算定漏れがないように注意しましょう。

また、退院日の属する月に外来で行った指導管理料については算定ができないルールがありますが、他医療機関で行ったものについては算定ができるとされています。
例えば、他の医療機関で継続治療を行う場合等です。この場合、明細書に算定理由を記載する必要がありますので、レセプト請求時には注意しましょう。

 

今回は「在宅療養指導管理料」の基本的ルール(通則)についてみてきました。
それぞれの指導管理料の内容については、個別に算定ルールの確認が必要です。算定前にはそれぞれに「算定要件」と「カルテの記載内容」「レセプトの記載内容」「使用する材料や薬剤等」を確認するようにしましょう!

 

<参考資料>

〇医学通信社「診療点数早見表」
第2部在宅医療第2節在宅療養指導管理料(394p~)

医業コンサル課 長幸美

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