医療事務基礎講座「医療と介護の給付調整」

長 幸美

アドバイザリー

介護保険事業と聞くと、「うわ~苦手~」「わからな~い!」という方が多いと思います。
しかし、医療機関でわからないからやらない・・・という選択は、もうありません。
コロナ禍で、在宅での生活を希望する方も増えているとお聞きしています。
介護施設やサービスを受けているときに医療が必要になった場合、その報酬がどのように配分されるのか、請求でできないと思い込み、患者さんにとってマイナスな対応をされていることもあるかもしれません。この機会に、一緒に見ていきましょう!

■告示7 医療保険と介護保険の給付調整
訪問看護などは、要介護認定を受けている方は、介護保険が優先されるというルールがあります。また、介護施設など、医師の配置の有無、看護職員の配置の有無により、重複すると思われる医療サービスについては、保険請求に制限が出てきて、調整が必要になってきます。これが「医療保険と介護保険の給付調整」です。

これは、要介護者が施設サービスや在宅でのサービスを受けながら、医療サービスを受ける場合の算定のルールです。
ざっくりというと、医師の配置があるかどうか、看護師の配置があるかどうか、その施設の役割がどうかにより、算定できる・できないが決められています。

■別表第1及び別表第2
別表第1には左欄に「要介護被保険者等である患者」の条件が書かれており、右欄には医科診療報酬点数表の区分が記載されており、条件と算定できる点数が対比してみることができるようになっています。
別表第2は算定方法について詳細に記載されています。

■通知「医療保険と介護保険の給付調整に関する留意事項及び医療保険と介護保険の相互に関する事項等について」
上記「告示7」を運用していくにあたっての取扱いの詳細ルールが記載されています。
「別紙1」の「要介護被保険者等に対する療養の給付」については、一つひとつの診療報酬点数表の区分ごとに、施設利用者に算定ができるかどうか〇×でかかれており、この表を見ながら多くの医療事務担当者は、判断していることと思います。

質問の多くは、この表を見ながら考えていくと解決できるものが多いのですが、そもそも患者さんが利用している介護保険サービスを知らないことには、この表を活用することもできません。
例えば、「介護老人保健施設」・・・つまり「老健」に入所中の方の場合、併設施設かそれ以外の施設によって算定が変わってきますし、患者さんの状態によっても変わってきます。
このために多くの場合は診療情報提供書により、患者さんの入所施設の種類や請求方法などを示す文書を持参される場合が多く、必ず確認する必要があります。
また、在宅扱いになるものの中では、「小規模多機能」や「グループホーム」、「特定施設」等では在宅医療を提供するにあたって注意が必要になってきます。

今後、患者さんの「住まいかた」が変化していくことも考えられます。
まずは、患者さんがどこにお住まいになっているか、生活にあたってどのようなサービスを受けておられるのか、ということは、医療機関としても情報を得ることが必要になってきます。

<参考資料>
■診療報酬点数表「告示7医療保険と介護保険の給付調整」
〇「医療保険と介護保険の給付調整に関する留意事項及び医療保険と介護保険の相互に関連する事項等について」の一部改正について(老老発0325第1号、保医発0325第2号、令和4年3月25日)
https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000935687.pdf

〇「特別養護老人ホーム等における療養の給付の取扱いについて」の一部改正について(保医発 0 3 2 5 第 3 号、令和4年3月25日)
https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000918744.pdf

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