【医療介護あれこれ】医療事務基礎講座「オンライン診療のポイントとコロナ特例」
長 幸美
アドバイザリー新型コロナウイルス感染症がはやり始めて、3年半・・・ウイルスもどんどん変異を繰り返し、今回の第7波といわれるものは、本当に皆さんご苦労されていると思います。
今年の改定で、オンライン診療が解禁になったお話は以前にもこのコラムで書いているのですが、このところ、コロナ特例との関係をよく質問されるので、少しふれておきたいと思います。
【情報通信機器を用いた診療~オンライン診療の解禁~】
今回令和4年4月の改定で、オンライン診療が「情報通信機器を用いた場合の診療」というくくりで、大きく見直され、初診も算定ができるようになり、ほぼ解禁された状態となりました。このことは皆さんご存じだと思いますが、この「情報通信機器を用いた場合」の診療は、要件があり、施設基準の届出をしないと算定できないということ、そして、要件に合致しない場合は、「コロナ特例」としてのオンライン診療がまだ残っていること、ご存じでしょうか。
■施設基準
情報通信機器を用いた診療を行う場合、厚生労働省の「オンライン診療診療の適切な実施に関する指針」に基づき行われていることが重要になります。
① 実施場所・・・事後的に確認が取れる場所、とされています。自宅でもよくなりました。
② 対面診療と組み合わせて行うこと・・・他の医療機関との連携でも良い
③ 患者の状態によって対面診療をおこなえる体制(他の医療機関との連携でも可)
そして、オンライン診療を行う医師は、オンライン診療にかかる研修会を修了していることが条件となります。修了書を医療機関内に保管する必要があります。
毎年7月の病院報告において、実施件数の報告が必要になりますので、実施件数の統計も必要です。
■オンライン診療はビデオ通話等を活用したものが必要
オンライン診療では、zoomやfacetime・Skypeなどのビデオ通話を利用したものである必要があります。チャットやメールなどの文字情報のみを活用したものは該当しません。
また、オンライン診療システムと何が違うかというと、予約・問診機能がないこと、決済機能がないため、どのように患者の予約管理を行い、保険証の確認をはじめ、患者情報・状態を把握し、決済してもらうかということを考えておかなければなりません。
その点、オンライン診療システムを活用すると、予約から問診表、決済まで一括して行うことができます。
【「コロナ特例」としてのオンライン診療】
「コロナ特例」により、電話再診やオンライン診療が届け出を出さずに算定することができていました。在宅医療を行う場合は、訪問診療とオンライン(電話)を組み合わせて行うことでも、在宅時医学総合管理料が算定することができていました。
これは残っていますので、「情報通信機器を用いた診療」に該当しない場合や届け出をしていない医療機関は、「コロナ特例」で算定することは可能です。
また、自宅療養者等に対し看護職員による電話等で病状の確認や療養指導を行った場合、在宅訪問看護・指導料の「訪問看護・指導体制充実加算」のみを算定できるようになっていますので、算定漏れがないようにしましょう!
【情報通信機器による診療の変更点】
今回の改定で、在宅医療に関しては、2回に1回オンライン診療を組み合わせることにより、在宅時医学総合管理料の算定方法が見直されています。
■月2回以上の診療棟のうち1回をオンライン診療にした場合
この場合、在宅患者訪問診療料(Ⅰ)888点+在宅時医学総合管理料(月2回以上の診療のうち1回を「情報通信機器を用いた場合」)2789点の算定となります。
これは2月目以降、在宅時医学総合管理料(月1回)で算定することになっていましたので、少しアップすることになるのではないでしょうか?
■月1回の訪問診療を行う場合2月に1回をオンライン診療にした場合
この場合、訪問診療を行う月は在宅時訪問診療888点+在宅時医学総合管理料(月1回の診療のうち2か月に1回に限り情報通信機器を用いた診療を行う場合1395点)の算定ができ、オンライン診療を行った場合は、在宅時医学総合管理料1395点のみの算定となります。これは注意が必要ですね。
【「オンライン診療の適切な実施に関する指針」のポイント】
細かいことはいろいろとありますが、大事なことは、
① 合意が得られていること、
② 診療計画が立てられていること、
③ 本人確認ができること
④ 診察や処方など、ガイドラインを踏まえて行われていること
⑤ 患者のプライバシーが守られる環境であること
が大事になってくると思います。そして、対面診療が難しいと判断した場合は速やかに対面診療ができるようにすることが大事です。
施設基準を満たさずにオンライン診療を行う場合は、現状「コロナ特例」での算定が可能です。また、電話での対応の場合も、「コロナ特例」での算定が可能になります。
今後、コロナ感染が落ち着いてくるのやら、また変異して流行していくのやら、見通しが立たない状況もあります。「情報通信機器を用いた診療」についても、準備をしておく必要があると思います。医療提供現場はひっ迫した状況になっていると思われますが、オンライン等を上手に組み合わせ、この乗り切っていきましょう!
<参考資料>
〇診療点数早見表(医学通信社)
初診料・再診料・在宅時医学総合管理料、の項目など
(指針及びQAについても掲載があります)
〇オンライン診療の適切な実施に関する指針
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000201790.html
〇オンライン診療の適切な実施に関する指針に関するQ&Aについて
https://www.mhlw.go.jp/content/10803000/000473058.pdf
〇オンライン診療の不適切な診療行為の取扱いについて
https://www.hokeni.org/docs/2019010900017/file_contents/20181226online.pdf
〇診療点数早見表(医学通信社) 1664p~
新型コロナウイルス感染症~診療報酬の臨時・特例措置(要約)
※全国保険医団体連合会「新型コロナウイルス関連」
https://hodanren.doc-net.or.jp/medical/covid-19/tkri/
医業コンサル課
著者紹介
- 医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント
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