【医業介護あれこれ】医療の質の評価⑤オンラインの活用

長 幸美

アドバイザリー

「医療の質の評価」シリーズの最後は「オンラインの活用」です。
地域医療構想のベースとなったNDBやレセプトデータのようなビッグデータの活用や「オンライン診療」や「オンライン資格確認」のことを指しているわけではありません。
当初は「オンプレミス型」の電カルが多く外界と遮断した環境が「医療安全では必須と思われてきたところがありますが、現状では「クラウド型」の電カルも増えてきて、セキュリティの問題などもあちこちで議論されています。
特定個人情報を扱う以上とても大事なことですが、少子高齢化と地域包括ケアシステムの中で、この「オンライン」は苦手だからと見過ごしていくことはできなくなってきていると感じています。改めて整理してみましょう。

■何故、今「オンライン」に注目されているのか?
少子高齢化の波は医療・介護業界にも同じように押し寄せてくるわけで、働く世代はこれまで以上に増やせない・・・少ない人数で必要な記録やデータ、カンファレンス参加などを行う必要が出てきます。
したがって、情報共有や連携の分野でのオンラインの活用は必須になってくると思います。これまでのように、「紙」に記載したもの・・・お薬手帳や説明文書、または対面に頼った情報共有では追い付かなくなってきているかもしれません。

■我々がコロナ対応により学んだこと
コロナ禍になり、「三密回避」「マスク着用」「手指消毒」などの対応策が打ち出され、対面による情報交換がやりにくくなってきました。病院の診療が不要不急の外出に入るのか?毎日通っていたリハビリへも行かなくなった方も多いと思います。
病院の連携部門も、否応もなくオンラインによるカンファレンスや診療を行うことになってきました。確かに対応できない・しない方が良い場面がある一方で、受診相談や継続投薬など、恩恵を受けている方もあります。

診療とは違う部分ですが、コロナ禍で、オンラインによるカンファレンスや勉強会が増えたおかげで、北海道や山形、東京、大阪など、これまでは聞いてみたいなと思っていても現地に行くことができずに断念していた勉強会等に参加することができるようになったことは大きなメリットだと思っています。

■デジタルによる連携
オンライン診療については、医師対患者だけではなく、介護者や看護師が介して医師に相談するという面でも活用方法は広がってくると思います。
外来のかかりつけ医と専門医など、厚労省からも例示が出ていましたね。

また、オンライン資格確認についても、新たな評価として点数が付きました。
これは「マイナンバーカード」と保険証情報を紐づけ、蓄積されているレセプトデータや健康診断等の情報を診療に生かしていくということですが、公費情報とともに、2023年には電子処方箋の活用に向けて準備は進められているようです。
この電子処方箋は調剤薬局にとっては大変大きな変化になるのではないかと思っています。また、配送業者が先駆けて輸送手段の提案をされていることも耳にしています。オンライン服薬指導もできるように制度は整備されてきていますので、「いや~苦手だから・・・」と言っていては取り残されていくことにもなりかねないのではないでしょうか?

地域連携におけるものではICTの活用によるカンファレンスの参加が幅広く認められてきています。ということは・・・多忙なために現場に行くことができない・・・という理由が使えなくなってきたという風にも考えられます。
リハビリテーションの計画書の説明も、遠方の場合など情報通信機器を活用した説明が認められましたし、サインの省略できるケースも増えてきました。
オンラインを活用して対応することはできる・・・そんな環境が整ってきているということだと思います。

■ICTを活用して業務の効率化を図る
遠隔死亡診断についても、ある一定の研修を終了した看護師が対応する必要がありますが、訪問看護のターミナルケア療養費の加算として出てきました。
カンファレンスなどその場に行かなくてよい、ということも効率化でしょうが、地域連携パスの活用やこういったビデオ通話を利用したり、アプリを活用したりという管理の開発なども様々に進められてきています。

オンラインの活用にあたっては、守らないといけないルールが別にありますので、簡単に右から左にはいかないと思いますが、診療だけではなく、指導管理やカンファレンス・訓練、さらには電子処方箋に至るまで、様々に活用することもできますので、活用できるものは活用して、質を高めていく必要がありそうです。導入に対し、ご不安がある場合は、ご連絡いただければと思います。
一緒に頑張っていきましょう!

医業コンサル課

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