【医療介護あれこれ】医療の質の評価②かかりつけ機能と在宅医療

長 幸美

アドバイザリー

「医療の質」の評価2回目、今回は「かかりつけ機能と在宅医療」の視点でみていきたいと思います。

■かかりつけ機能とは・・・?
かかりつけ医は「健康に関することをなんでも相談できるうえに、最新の医療情報を熟知して、必要なときには専門医、専門医療機関を紹介してくれる、身近で頼りになる地域医療、保健、福祉を担う総合的な能力を有する医師」と定義づけられています。

このため、令和4年度の診療報酬改定において、かかりつけ医の機能の評価として、「機能強化加算」「地域包括診療料・診療加算」「小児かかりつけ診療料」「在宅療養支援診療所・病院の在宅時医学総合管理料・施設入居時等医学総合管理料」等がありますが、かかりつけ機能の強化する方向で見直されました。

■かかりつけ機能見直しの背景
コロナ禍において、予防接種がすすまなかったこと、診療所等における一次救急(比較的軽い症状の患者)の相談・受診が、急性期の病院に流れ、急性期医療がひっ迫してしまったことが挙げられています。
また、入院・施設入所の場合だと、家族の面会ができずに、テレワークをきっかけに在宅療養を選択する方もいらっしゃるようです。

■なぜかかりつけ機能が重要視されるのか?
地域医療構想では、地域にある医療機関を色分け(機能別)することにより、高度急性期医療を提供する医療機関には医療機能を差別化し、高度な医療提供に専念してもらいたいという意見が盛り込まれています。地域の中の医療機能を分けて、ファーストコンタクトは「地域のかかりつけ医」を受診し、必要な時に適切に紹介して、高度急性期医療が確実に提供され、終わればまた地域の医療機関に逆紹介する・・・つまり、本当に必要な医療の提供を適切につないでいく・・・いわゆるかかりつけ医がゲートキーパーになって、循環型の医療連携を推進してほしいというメッセージです。
こう考えていくと、高度急性期病院の紹介率、逆紹介率にペナルティがついている理由もなんとなくわかってくるのかなと思います。

■地域に開かれた外来医療と在宅医療
地域社会の中での「かかりつけ医機能」として、行政活動への協力が挙げられています。これは「健康相談」「予防接種」「健康診断・がん検診・母子健診」だけではなく、学校保健、産業保健、なども含まれてきています。
また、災害が起きた地域の医療支援活動に参加することや、24時間365日安心して相談、受診していただけるような取り組み(休日夜間急患センターの業務への協力)も必要となってきます。

このために、これらの医療機能については、院内掲示だけではなく、ホームページ等で公開することが求められています。つまり自院の患者さんだけではなく、広く地域に開いていってほしいということだと思います。

■在宅療養支援診療所・病院の役割は地域の在宅リーダー
今回の改定は地域医療の一員として、「地域の医療の質の評価」ともいえる内容が盛り込まれています。病院の中だけではなく、地域に出ていき地域を引っ張っていってほしい・・・そういうメッセージがあちこちに込められています。
感染対策もスーパーICUも、急性期充実体制加算も・・・そして、介護系で言うと、機能強化型訪問看護ステーションも、地域に向けた教育・研修やアドバイスなどを行うことが要件として求められています。
「地域医療のリーダーとして引っ張っていって!」というメッセージですね。

そして、在宅療養支援診療所・病院の役割です。
文字通り、在宅療養を支援するための診療所であり病院です。
在宅療養を支えるうえで、どのように支えてほしいかということが要件の中に入ってきて、その実績を求められてきているということです。これは「実践しているか」ということが問われているわけですね。本当に実践されている医療機関にとってはそんなに難しい数字ではないということもお聞きしていますが、とりあえず施設基準を出しておこう、という医療機関にとっては、厳しいものになっていると思います。

自院の役割や求められていることについてしっかりと考えて、そのうえで、どのように対応をしていくか、検討していく必要がありそうです。

<参考資料>
〇日本医師会:「国民の信頼に応えるかかりつけ医として」
https://www.med.or.jp/people/kakari/

医業コンサル課

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