【令和4年度診療報酬改定】地域包括ケア病棟入院料・医療管理料
長 幸美
アドバイザリー今回の改定では、「連携」「役割分担」「効率化」がキーワードになるということをお話してきました。実はその究極がこの「地域包括ケア病棟・病室」ではないかと思っています。
今日はその地域包括ケア病棟に求められていることをお話していきたいと思います。
先月の、とある土曜日に「医療系事務職員のためのオンライン勉強会」において、診療報酬改定の勉強会がありました。その中でも、細かな改定というより、「どんなことを求められているのか」という「病棟の役割」「入院医療の役割」のお話をさせていただきました。これまでの改定のセミナーとは少し違っていて戸惑われた方もあったと思いますが、今回の改定、この「役割を理解する」そして「自院がやりたいと思っていること」こういったことをしっかりと認識し、地域の役割と合わせて評価していくことがとても大切だと思います。
その最たるものが、この「地域包括ケア病棟・管理料」ではないでしょうか?
■地域包括ケア病棟・管理料
「地域包括ケアシステムのための病床」・・・つまり地域での暮らしを支えていく役割が求められています。なんとなく、ふわっとしていてよくわからないですね。
しかしこの役割を理解すると、今回の改定で何が言いたいのか、なぜこのような点数評価になっているのか、なぜこの実績が求められているのか・・・がよくわかってくると思います。
■地域で住み続けるための支援って何だろう?
ひとつは、急性期医療が提供された後の在宅に向けたリハビリや介護につなぐための準備が行える病棟機能です。いわゆるポストアキュートといわれるもので、自院だけではなく、地域の7対1急性期医療を実施する医療機関から、手術後等治療後の患者を受け入れ、在宅につないでいく機能です。
二つ目には、在宅生活を行う上で、何か困ったことが起きたときに相談にのってもらえるということでしょう!緊急入院をして手術をするほどではないけれど、何か様子がいつもと違って心配・・・つまり、在宅で療養している患者等を受け入れる機能が求められています。つまりサブアキュート機能です。
最後に、在宅復帰支援です。いったん入院した患者にとって、住み慣れた家に帰ることは当たり前のことかもしれませんが、家庭の事情や環境により自宅に帰ることが困難になる場合もあります。そんなときに支援してくれる機能です。
この①急性期治療後の患者の受入れ、②在宅で療養を行っている患者の受入れ、③在宅復帰支援について、必要なものを備えているか、バランスよく提供しているか、ということが、「実績」として評価されることになります。
■地域を支えるという意味
地域を支えることは、ひとつの医療機関でできるものではないと思います。すべてを一つの医療機関で担うことは難しいでしょう。つまり連携しなければ、地域を支えるということはできないのではないかと思います。
急性期の医療機関と在宅医療への橋渡しについては、地域包括ケア病棟の得意技だと思うのですが、それが細かな実績要件の中に入ってきています。実際に地域支援を行っている医療機関にとってはあまり難しくはないかもしれませんが、ひとつの機能を中心にしていて、三つの機能をしっかりと実施できていない医療機関にとっては、かなり厳しいものかもしれません。
■療養病棟に厳しい改定
療養病棟がベースの地域包括ケア病棟・病床にとって、5%の減算が打ち出されてきました。これは、療養病床では急性期医療に近い患者の受入れ等が難しいのではないかという評価になっていると思いますが、実際には地域に根差した受け入れ態勢等を整えておられる医療機関もあり、救急告示や自宅等から入院した患者の割合、緊急患者の受入れ等の要件を満たす場合は所定点数通りに算定が可能になっています。これも、実際の対応を評価して者ですね。
■自院の医療提供体制・内容を見直して!
今回の改定、要件がクリアできない!という医療機関があれば、ぜひ地域の医療ニーズと自院の医療提供体制を見直していただきたいと思います。
これまでのように、小手先でとりあえずこうしよう・・・という対応では、今後続けられなくなる可能性もあります。自院がどんな理念のもとに医療提供しようとしているのか、そのために必要な機能が提供できているか、地域のニーズはどうか、そのためにどことどうつながっていくか・・・つまり足元を固めていくことが必要だと思うのです。
ここが正念場、経過措置期間もありますので、その間にしっかりと地固めするつもりで、
皆さん一丸となってこの荒波を乗り越えていきましょう!
医業コンサル課
著者紹介
- 医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント
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