【令和4年度診療報酬改定】オンライン診療について

長 幸美

アドバイザリー

今回の改定で「オンライン診療」は廃止・・・となりましたが、事実上の解禁になったのではないかと思います。オンラインを使った診療に対し、ハードルが低くなりましたね。
今回の改定で、大きく、患者動向が変わる可能性があります。
今日はこの「オンライン」を活用した外来診療について、考えてみたいと思います。

【基本診療料】
■初診料:情報通信機器を用いた場合   251点
■再診料:情報通信機器を用いた場合    73点
■外来診療料:情報通信機器を用いた場合  73点

算定の要件としては、厚労省「オンライン診療の適切な実施に関する指針」に沿って診療を行うことが求められています。
夜間や休日等、やむを得ず対応できない場合については、患者が速やかに医療機関において対面診療を行えるように、事前に説明し、以下の内容を診療録に記載することが求められています。
① かかりつけ医がいる場合・・・当該かかりつけ医が所属する医療機関名
② かかりつけ医がいない場合・・・対面診療により診療できない理由、適切な医療機関として紹介先の医療機関名、紹介方法及び患者の同意
指針に沿った診療であること、処方を行う際には当該指針に沿って処方を行うことが必要です。
また、予約に基づく診療による特別の料金の徴収はできません。
これまで通り、情報通信機器の運用に要する費用については、療養の給付と直接関係がないサービスとして、実費徴収ができます。

診療の場所としては、医療機関に所属する保険医が、医療機関内で実施することを原則とされていますが、医療機関外で実施する場合であっても、視診に沿った適切な診療が行え、事後的に確認が可能な場所であることが必要とされています。

【医学管理料】
情報通信機器を用いた場合、多くの医学管理料が対象として追加されています。
しっかり確認しておきましょう。
<対象の追加>
ウイルス疾患指導料、 皮膚科特定疾患指導管理料、
小児悪性腫瘍患者指導管理料、 がん性疼痛緩和指導管理料、
がん患者指導管理料、 外来緩和ケア管理料、
移植後患者指導管理料 、 腎代替療法指導管理料、
乳幼児育児栄養指導料、 療養・就労両立支援指導料、
がん治療連携計画策定料2、 外来がん患者在宅連携指導料、
肝炎インターフェロン治療計画料、 薬剤総合評価調整管理料

包括点数に検査の点数が含まれているもの(地域包括診療料、認知症地域包括診療料、生活習慣病管理料など)は、一部対象から除外されています。

【在宅管理】
在宅時医学総合管理料及び施設入居時等医学総合管理料について、月2回以上訪問診療を行う場合、月2回のうち1回以上情報通信機器を用いた場合、また月1回訪問診療を行い、2月に1回に限り情報通信機器を用いた場合の評価が新設されています。
このことにより、安定している在宅患者については、訪問診療とオンラインを組み合わせて診療することが可能になり、在宅管理の幅が広がっていくかもしれません。

【その他】
■外来栄養食事指導料
前回の改定で、院内の管理栄養士以外でも算定が可能となり、情報通信機器による栄養食事指導料について、評価されていましたが、今回は、外来栄養食事指導料1・外来栄養食事指導料2いずれも情報通信機器を用いた場合の見直しされることになっています。

■外来医療のデータ提出について
生活習慣病管理料、在宅時医学総合管理料、施設入居時等医学総合管理料、在宅がん医
療総合診療料、疾患別リハビリテーション料については、以下の要件を満たすことにより、加算が新設(50点)されています。
<施設基準>
① 診療報酬の請求状況、生活習慣病の治療管理の状況等の診療の内容に関するデータを継続して厚生労働省に提出している場合
② データ提出加算の届出を行っていない医療機関

■オンライン資格確認システム
初診料・再診料・外来診療料について、「電子的保険医療情報活用加算」として注の加算として(月に1回に限り算定できる)が新設されています。
初診料_注14 電子的保健医療情報活用加算 7点
再診料_注18 電子的保健医療情報活用加算    4点
外来診療料_注10 電位的保健医療情報活用加算 4点

<対象患者>
オンライン資格確認システムを活用する保険医療機関を受診した患者
<施設基準>
① 電子情報処理組織の使用による請求を行っている
② 電子資格確認を行う体制を有している
③ 掲示・・・電子資格確認に関する事項、当該保険医療機関の見やすい場所に掲示

オンライン資格確認は、このシステムを活用して薬剤情報又は特定健診情報を取得し、当該情報を診療に活用することができるようになります。この仕組みをぜひ使って診療を行ってほしいということですね。

また、参考までに、調剤薬局についても、調剤管理料として、電子的保健医療情報活用加算(3点)がついていますので、調剤薬局の方も確認してみてください。

【おわりに】
オンラインについては、このほか、患者に対するカンファレンスについてもオンライン対応が認められてきています。
今回の改定については、ICTの利活用やデジタル化についてかなり重点を置かれているように感じます。これは、「効率化」「働き方改革」の一環だと思うのですが、病院のみならず、診療所も作業内容を見直し、オンライン対応ができるか、データ管理ができるか、ということが問われています。つまり、事務職員のスキルアップが待ったなしに求められてくるということではないでしょうか。

<参考資料>
■中医協「個別改定項目について」 20220209発出
https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000894869.pdf

今回は、278p~309pのうち、外来に関する内容です。厚労省の資料をぜひ確認してください。

医業コンサル課

著者紹介

長 幸美
医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント

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