【医療介護あれこれ】接遇レッスン「報連相はメモから」

長 幸美

アドバイザリー

「最近の若い子は報連相ができないことが多いんです」
こういった相談が時々あります。さて、的確なタイミングでの「報連相」どのように教えていけばいいでしょうか?
医療機関や介護現場では、申し送りの時間を取り、報告や連絡、情報の共有を行うようにしていますが、それだけでよいのでしょうか?
仕事をする上で基本的でありかつとても重要な「報連相」について、考えてみましょう。

【報連相とは】
報連相とは、「報告」「連絡」「相談」の1文字目をとったもので、仕事を円滑に進めるうえで必要不可欠なスキルです。

■報告:仕事の進捗具合や結果について上司や先輩等に伝えること
■連絡:仕事の情報や今後の予定を関係者(上司や同僚等)に伝えること
■相談:疑問や問題が生じたときに上司や先輩等にアドバイスをもらうこと

つまり、自分が指示された仕事や業務について、どこまで進んでいるか、問題は起きていないか、何か困っていないか、ということを発信するスキルになります。
これは受けた側が自主的に行動に起こすことが必要ですが、上手にできている方が少ないのが現状です。タイミングよく報連相を実施するためには、職員に意識的に教えていく必要があります。

【目的と重要性は?】
多くの場合、一人で仕事を完結することは容易ではありません。医療現場・介護現場であれば、Teamで対応することが多く、それぞれにかかわりがある複数の職種があります。Teamで行う以上、仕事の進捗や小さな問題であっても情報を共有し、迅速に対応することは、リスク回避を行う観点からも、とても重要なことです。
このように、報連相の目的は、情報の伝達と共有にあるといっても過言ではないでしょう。

【なぜ報連相がうまくいかないのか?】
どこかに「ボトムネック」となる部分があるのではないでしょうか?
「報連相」は現場から発信されるものが多くなります。報告しやすい仕組みづくり、例えば、上司や先輩があまりに忙しそうな場合、「あ~ちょっと待って」「何やっているの?」という一言で、声がかけられずにモジモジしてしまうこともあります。

■報連相を妨げる要因の第一位は「上司の威圧感」
新人にとっては初めてのことが多く、上司は沢山の仕事を抱えている・・・というだけで、声をかけるタイミングを逸している場合があります。
例えば、「そんなことわかるでしょ!」「そのくらい自分で考えてやりなさい!」「もう!!」ということを言っていませんか? 上司の何気ない態度や一言で、「言えなくなる」状況を作ってしまっている可能性もあることを意識しましょう。

■報連相の運用をルール化する
新人職員であれば、仕事を頼んだら、途中経過を報告するタイミングを指示し、アドバイスすることにより、「報連相」のタイミングを教えていくことも必要かもしれません。
例えば、「この書類の記入が終わったら報告してね」「検温が終わったら教えてね」という具合にです。また、急ぎのことは「いつまでに実施する」ということを明確にする必要もあるかもしれません。
また、30分考えて先に進めない状況になったら、上司に相談する・・・など、ルール化していることも大事かもしれません。

面白い話があります。私の前職の上司ですが、「これは急ぎの仕事ではないから、後からでいいですから・・・」といわれたことがあります。指示を受け、内容を確認し、「後からでいいなら・・・」と請求業務に戻りました。すると2時間程度たって、「どこまでできましたか?」と様子をうかがいに来られたのです。
その上司は、「急ぎの仕事=その場でやる仕事」
「急ぎではない=半日程度でやってほしい仕事」
「ゆっくりでいいから=2~3日かけてやってほしい」
という振り分けをされていることを後で知りました。
これは指示を受けたときに、私が持っている仕事が後何時間程度かかるのか、ということをきちんと伝え、その後でよいのか、若しくは、いつまでに終わらせる必要がある作業か、ということを確認できていなくて生じた齟齬でした。
自分自身の時間軸で判断してはいけないという教訓を得た事例です。

■報連相をうまく活用するポイント
はじめは相談のタイミングを、「○○が終わったら声をかけてね」という形で進めると同時に、どこまで進んでいるのか指示をした側から声をかけるようにしましょう。
私は、概ねこのくらいで、半分程度進んでいるかな、というタイミングで声をかけるようにしていました。すると、仕事のテンポを把握することもできますし、イライラせずに済みます。
また、そうすることにより、頻繁に声をかけることにもなり、困っていることに早く気付くこともできます。
そうしていきながら、理解度や進捗状況、その人の作業スピードに応じて、一人でできる範囲を少しずつ増やしていくこともできます。

また、前述した上司は、食事の前、16時過ぎに必ず顔を出して様子をうかがいに来る人でした。同じフロアで仕事をしていないということもありましたが、意識的にコミュニケーションをとるためにそのようにされていたようです。

【伝え方のポイント】
最後に、伝え方のポイントです。お互いに忙しい身ですので、短時間で端的な報連相を心がけていきましょう。
■結論から伝える
「~~についてのご相談です」「~~の件でご報告です」という風にまずどんなことを話ししようとしているのか、ということを先に伝えるようにしましょう。

■事実を伝える
事実は、適切に判断してもらえる材料となります。
私も過去に言われたことがありますが、「それはあなたの考えですか? それとも事実ですか?」と聞かれたことはありませんか? 事実を伝え、「あなたはどう思うのか?」と聞かれたときにのみ、あなたの意見を述べるようにしましょう。

さて、今回、「報連相」について、考えてきましたが、皆さんの職場で、「報連相がうまくいかない」というところの解決方法のヒントは見つかりましたでしょうか?
命の現場では、対応を急ぐ場合もあり、的確な報告や相談を求められることが多いと思います。時に「それよりも大事なことがあるでしょう!」ということも多々あるかもしれません。
医療事務などであれば請求の期限などがあります。

医業経営支援課

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