【医療介護あれこれ】在宅生活で利用できる介護サービス②

長 幸美

アドバイザリー

「在宅生活で利用できる介護サービス」3回シリーズの2回目です。今回は、「通所系サービス」についてみていきたいと思います。
この通所系サービスといえば、「通所介護」「通所リハビリテーション」がありますが、皆さん、どのように理解されているでしょうか?

「通所系事業に興味がある」という方とお話をする機会がありました。その際にどんなイメージを持ち、どんなサービスをされていると思うか、お聞きしてみました。
返ってきた言葉は「朝お迎えに行って、ご飯を出してお風呂に入れて送っていく」ということでした。このイメージは私にとってはかなりショッキングなものでした。
一言で、「通所介護(デイサービス)」「通所リハビリ(デイケア)」といっても様々なサービスがあります。そのそれぞれの事業の特性に合わせ、「在宅での生活を支援するために必要なこと」を考えて、「どのようなサービス提供をするのか」を考えていくことが必要だと思います。共通事項とそれぞれのサービスに分けて整理してみましょう。

【共通事項】
介護保険サービスの大前提は、「地域での在宅生活を支える」ことですね。
通所系サービスでは、地域包括ケアシステムの中での貴重な社会資源のひとつであり、他のサービス提供機関等とともに地域での生活を支えていくことが求められています。

キャプチャ
(出典:厚生労働省「地域包括ケアシステム」より)

通所系サービスの強みは、「定期的に」「外に出ること」によりかかわりを継続していくことができるところだと思います。

【通所介護(デイサービス)】
要介護認定を受けた方が、自宅での生活を続けていけるように、身体機能の維持・向上を目指し、機能訓練や、他者との交流を通して社会的孤立感の解消や認知症予防を図るところです。 また介護者(家族)の身体的・精神的負担の軽減も目的の一つとされています。

要介護状態にある高齢者がデイサービスセンター等へ通い、入浴、排せつ、食事等の介護、機能訓練を日帰りで行います。
利用者が楽しく通えるように、書道、陶芸、生け花、リズム体操等、様々なプログラムが準備されています。機能訓練指導員による、リハビリも行うことができます。
高齢になってくると、外に出るのがおっくうになり、社会的な役割等も薄くなり、自宅に引きこもることが多くなりますが、適度な刺激を受けることにより、認知機能の維持、体力(筋力)の維持を図り寝たきりを予防することもできます。

【通所リハビリテーション(デイケア)】
医療機関や老健、介護医療院で行っている介護保険でのリハビリテーションを受けるサービスです。要介護高齢者を対象に、医師の指示のもと、PT・OT・STなどリハビリ専門職による「機能維持回復訓練」や「日常動作訓練」を受けることができます。

疾患別リハビリテーションは「標準的算定日数」が定められています。脳血管や運動器など、ある程度の期間は集中したリハビリを行い、しっかりと効果を出していく期間を定められていて、結果(効果)を評価していくように求められているともいえます。
高齢化に伴い、機能がもとに戻るわけではない場合もあるでしょうが、維持期(生活期)に入ってきたら、その機能が落ちないように、また残っている機能を活用して在宅における生活を支援していくものが通所リハビリテーションであると理解できます。
このために医療機関、老健において介護保険でのリハビリテーションを行う、と理解していただければと思います。
リハビリの専門職が計画を立て、その方の地域での生活に必要なリハビリを行いますので、自宅の状況をみて把握し、必要な機能をしっかりと訓練することになります。

このように、通所介護と通所リハビリテーション・・・「通い」のサービスという位置づけではとても似ているように思いますが、目的が違いますので、患者さまがどちらのサービスが必要かという観点からも考えていく必要があるかもしれませんね。

医業経営支援課

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