【医療介護あれこれ】医療事務基礎講座「保険診療とは?」
長 幸美
アドバイザリー日本の「医療保険制度」は世界的に見ても、特徴のある制度だということ、ご存知ですか?
今日はその医療保険制度について、学んでいきましょう!
医療保険制度は、加入者が収入に応じて保険料を出し合い、そこから医療費を支出するという公的な仕組みです。そして何よりも特徴的なことは、「国民皆保険制度」といって、すべての国民が何らかの医療保険に加入することが定められています。
医療保険の種類は、大きく以下の三つに分かれています。
① 職域保険・・・協会けんぽ、船員保険、共済保険、組合保険、等
② 地域保険・・・市町村保険、国民健康保険組合、等
③ 後期高齢者医療保険・・・75歳以上(例外、障害医療の方は65歳以上)
「職域保険」とは、いわゆる「社会保険(健康保険)」のことです。お仕事をしている方が加入している保険で、保険料は事業主(会社)が半分負担してくれています。
「地域保険」とは、いわゆる「国民健康保険」のことで、個人事業主の方や退職して仕事をしていない方などが加入されています。こちらは全額自分で支払いをすることになります。
「後期高齢者医療保険」は、75歳以上の高齢者が加入する保険です。一部身体障害者の方は65歳以上で後期高齢者医療保険に変わる仕組みがあります。
それぞれに保険の主体(主管)が違いますので、基本となる法律があり、どのような場合に保険から医療費を支払うかということが決められています。
ここでは詳しく触れませんが、別の機会にコラムで触れていきたいと思っています。
さて、今日のテーマ「保険診療とは?」に戻りましょう。
「保険診療」とは、これらの保険制度・・・つまり、社会保険(健康保険)や国民健康保険、後期高齢者医療保険などの公的な医療保険制度を適用される診療を受けることをいいます。
保険診療は、この基本となる法律(健康保険法等)に基づくルールに則って、療養の給付・・・つまり診療行為を行い、その診療報酬を請求することが求められています。
保険診療として、診療報酬が支払われる基本条件は以下の通りです。
① 保険医が、
② 保険医療機関において、
③ 健康保険法、医師法、医療法、医薬品医療機器等法の各種関係法令の規定を遵守し、
④ 「療養担当規則」の規定を遵守し、
⑤ 医学的に妥当適切な診療を行う
⑥ 診療報酬点数表に定められたとおりに請求を行っていること
これらの項目に一つでも反しているものがあると、保険診療は認められず、診療報酬の支払いはされません。これが「査定」となります。
皆さんの医療機関は、「保険医療機関」として指定を受けておられると思いますし、先生方も「保険医」として指定を受けておられると思います。
患者さんの保険証を確認し、レセプトを作成し請求されているということは、この基本ルールを守る義務があるということになるということは知っておいていただきたいなと思います。
医業経営支援課
著者紹介
- 医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント
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