【医療介護あれこれ】医療事務基礎講座「医療機関の事務」

長 幸美

アドバイザリー

さて、第1回目は医療機関の役割をお話し、「治す」という役割から、「生活を支える」という役割に変わりつつあるということをお話してきました。第2回目の今日は、「医療機関の事務職員の役割も変わってきている」ということをお話ししたいと思います。

皆さん「医事課」の仕事として、どのようなものがあるとお考えになりますか?
私は約30年前に病院の事務職員として医療機関で働き始めました。その時に配属されたのは、受付(医事課)です。その時の主な仕事内容は、「受付」「診療費計算」「保険請求業務」でした。診療した結果をもとに、医療費を計算することが主な仕事だったのです。
しかし、23年間病院に勤務している間に、求められるものはどんどん変わってきました。
紙のカルテが電子カルテに変わり、レセプトもオンライン請求になりました。医療も日々進化していますが、この事務作業も日々進化してきています。

【受付業務】
ざっくりと分けると、以下の5項目になるのではないかと思います。
① 新患受付・・・患者登録、カルテ作成
② 再来受付
③ 保険証及び各種医療証の確認・・・介護保険の有無を含む
④ 来院者対応・・・患者だけではなく、業者・地域の方など
⑤ 電話対応

ここで大事なことは、医療者と患者さんを含む外部のとのつなぎ手になっているということでしょう。とても大事な役割だと思います。

【診療費計算】
今は電子カルテになっている場合が多いので、比較的スムーズに済みますが、先生方の診療内容を把握していないと、算定漏れやご請求が起こってしまいます。診療後の短時間に行わないといけないので、気を使いますよね。
① 診療後、診察内容を確認して診療費を計算する
② 患者負担金を徴収する
③ 窓口で未収金が発生した場合は改修に向けて管理する

【保険請求業務】
これはいわゆる「レセプト業務」といわれるものです。先生方の1か月間の診療行為を1枚の「診療報酬請求書(レセプト)」にまとめていく作業です。病名漏れ、コメント漏れなどが無いか確認していきます。これは期限がありますので、月末・月初めに集中しますが、日中に出来る作業を取り入れ、レセプト作業を省力化していくことが必要です。
① レセプト点検
② 未請求レセプトの管理
③ 調定及び返戻・査定の管理・・・再請求など適正に行うこと

近年この対応が十分でなく、さらに査定を受ける事例、個別指導や適時調査に移行する事例なども増えているように思います。

【その他】
① 統計・・・施設基準に必要な統計が増加
② 受診勧奨・・・オンライン相談やオンライン診療等も増加
③ 連携事務・・・他の医療機関や介護事業所との連携、地域との連携
④ 広報活動…ブランディング
⑤ 情報管理
⑥ 医師事務作業補助

近年、九州厚生局の届出事項について、簡素化されているものが増えてきました。
手続きの簡素化により、自主検査等を実施し、満たしていることを確認するように求められているだけで、医療機関の手間は変わりません。逆にしっかりと管理できていなかったときが、大変なことになる事例が増加するのではないかと懸念しています。
コロナ対応により、医療機関に来られた患者を診療すればよい、ということはなくなり、生活習慣病などの重度化抑制については、②の受診勧奨や相談等を受ける体制もとても大切になってきます。

このようなことを考えていくと、診療所の事務さんも、活躍できるフィールドは広がってきていると思います。私も医療事務をベースに、地域連携や広報、予防等にも関わってきました。先生方がしっかりと医療に専念できるように、医師事務の仕事もあります。
以前の医事職員は、私を含めて「収入を生まない」といわれてきましたが、仕事の仕方ひとつで、収入に大きく貢献できることもあり、患者さんからも先生方からも喜ばれる仕事の仕方もできるように変化してきています。
地域の中の医療機関として、皆さんも力を発揮してみられませんか?

医業経営支援課

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