【令和2年度診療報酬改定】認知症ケア加算について
長 幸美
アドバイザリー認知症ケア加算は、認知症による行動・心理症状や意思疎通の困難さが見られ、身体疾患の治療への影響が見込まれる患者に対し、病棟の看護師等や専門知識を有した多職種が適切に対応することで、認知症症状の悪化を予防し身体疾患の治療を円滑に受けられることを目的として評価がついています。
簡単に言うと、身体疾患の加療目的で入院された認知症患者を、医療機関側が適切な受け入れと加療を行うことに対し評価された、つまり「認知症対応力に対する評価」と解することができるのではないでしょうか。
令和2年度の診療報酬改定では、これまでの2段階の評価から、その中間評価ができ、3段階の評価となりました。内容を整理していきましょう。
【認知症ケア加算2の施設基準】
① 認知症患者の診療に十分な経験を有する専任の常勤医師又は認知症患者の看護に従事した経験を5年以上有する研修を修了した専任の常勤看護師を配置 ※経験や研修の要件は加算1と同様
② 原則として、全ての病棟に、研修を受けた看護師を3名以上配置 ※研修の要件は加算3と同様
③ 上記専任の医師又は看護師が、認知症ケアの実施状況を把握・助言 等
これは①の医師又は認定看護師の配置については、認知症ケア加算1の要件が必要になってきます。認定看護師の要件は厳しいですが、「認知症ケアチーム」の設置や定期的カンファレンスの実施、病棟巡回等の算定要件はなく、定期的な認知症ケアの実施状況の把握と病棟職員への助言でよいものとされています。
また、認知症ケア加算は、「身体拘束をせずにケアを行う」ことが求められています。
それが、「身体拘束を実施した日は、所定点数の100分の60に相当する点数を算定する」という、請求上の意味合いだと思います。
その他、専任職員の経験年数が5年⇒3年に変更になっていること、加算2.3については、9時間以上の研修を修了した看護師を3名以上配置することなどを求められています。研修要件については3名のうち1名は院内の研修でもよいとされましたので、詳細を確認するようにしてください。
高齢化が進む今、「認知症対応」は医療機関にとって、避けては通れないものとなっています。より良いケアにより、質の高い医療提供につながりますよう、ご検討されてみては如何でしょうか?
<参考資料>
◆厚労省:令和2年度診療報酬改定説明会資料等について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000196352_00001.html
◆厚労省:令和2年度診療報酬改定について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411_00027.html
※告示、通知、疑義解釈、等をご覧ください。
医業経営支援課
著者紹介
- 医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント
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