【医療介護あれこれ】全国連携実務者ネットワ―クに参加して
長 幸美
アドバイザリー今年も残すところ2週間になりました。今年は天候があれ、水害や猛暑(酷暑)など、災害の1年になりました。今年の世相を表す漢字も「災」でしたね。
12月に入り急に冷え込んで、インフルエンザも流行の兆しが出てきています。
そんな凛と空気が冷えた土日に、倉敷で「第3回行政担当者×連携実務者ミーティング」が行われ、参加してきました。病院の連携室や事務担当者をはじめ、行政の保健師や事務担当者、厚生労働省健康局の方もお迎えし、多職種で連携についてじっくりと考える時間となりました。
「全国連携実務者ネットワーク」は、連携実務者の学習や意見交換の場の提供、連携実務やネットワークに関する情報の提供、及び相談窓口の設置等の事業を通じて、全国の連携実務者の業務の質を高め、より良い医療及び介護サービスを国民が享受できる豊かな保健・医療・福祉社会の推進を目的として、平成19年度より活動を開始され、平成28年5月に法人化(特定非営利活動法人)されています。
年に1回の全国連携実務者ネットワーク連絡会の開催を柱とし、地域連携室の内側を強化するための様々な取り組み、外側の連携についてもつながりを開拓する取組を行われている会です。その中で、平成28年度から「行政担当者×連携実務者ミーティング」が行われ、今年は第3回となります。
今年は、7月の西日本豪雨の影響があり、12月の開催となりましたが、全国から80名を超える方々がお越しになり、介護・福祉・医療・保険・地方創生という様々な立場から、実践報告があり、私たちに何ができるのか、考える場となり、会場は熱気にあふれていました。
1日目は、「地域共生社会が描く日本の未来」と題し、厚生労働省の健康局がん・失敗対策課の課長で元倉敷市保険福祉局の参与を務められていた吉田氏の基調講演から始まりました。これから加速するであろう少子高齢化により、「地域共生社会」つまり、高齢者だけではなく子供も障碍者も、生活困窮者といわれる制度のはざまにある方々もその地域の中で暮らしていくために必要なことは何なのか・・・それぞれの施策の隙間を埋めるため・・・どうしても漏れ落ちてしまうものをどう拾い上げていくのか・・・
行政と現場の橋渡しをする方・・・「コーディネーター」が大事で、市町村レベルで考えるだけではなく、生活の基盤である地域の中で、如何につながり、協力しあっていくのか・・・ということを考えさせられました。地域づくりを応援する「場」や「人」その間をつなぐ専門職が「コーディネーター」であること。まず、地域を受け止め、「いいね」を探し、意識化⇒見える化⇒共有すること・・・そしてまた発見する・・・
そのPDCAを回していくことで、地域づくりを推進していくことになります。
この「コーディネーター」はなんだか私たちが目指している「経営のよろず相談屋」と似ている・・・と感じました。まずはお客様の想いを受け止め、「困った」を受け止め、一緒に出来ることを探して実践していく・・・
今回介護・福祉・医療を取り巻く、環境の中で、「地域共生社会」は「住民一人ひとりの暮らしと生きがい」「地域を共に作っていく社会」・・・これが共生社会であると・・・なんだか揺さぶられるような思いでした。
「福祉」の立場では・・・コミュニティ・ソーシャルワーカー(CSW)を提唱されていました。地域の中で「我がごと、丸ごと」小学校区の中で地域の住人がイベントなど「集まる機会×相談」を、地域の住民主体でどう作っていくのか・・・
次に「医療」では、マーケティング志向の連携、「プロモーション」を考えていくこと。「わが街健康プロジェクト」の中で、医療機関と上手に付き合う方法を知ることが大きなテーマになっているそうです。「わが街健康プロジェクト」は私も以前から関心があり、とても面白い取り組みだと思います。地域の中で「自院の立ち位置を明確にしていくこと」そして、それを地域の住民に知ってもらい、地域の医療機関ともつながっていく・・・これこそ「地域医療構想」で目指している姿ではないでしょうか!
また、継続していくうえでは、住民の方が参加できる取り組みがいっぱい!
地域の中の取り組みとして、とても参考になると思いました。
「保健」の立場からは、行政の保健師としては家庭訪問が主な活動と位置付けられていますが、予防やフレイル、という観点から医療・福祉とのつながりも強いものがあります。私の中では、この行政に所属されている保健師さんのお話がとても印象的でした。異動になり保険局の保健師になった段階で、「こうしたらいい」ということがあっても、できない・・・ということがあるとのこと。縦割りの弊害があると感じています。
高齢者であっても、障碍者であっても、若くても・・・その地域で暮らしていく住民であることには変わりがありません。その中でどうつながっていくのか、何ができるのか・・・立場の中でとても悩まれていて、印象に残っています。
「地域創生」の観点からは、「我がごと」「丸ごと」の地域づくりを考えることが大事で、それは「多様性」があり、「連携(つながること)」「自助」「互助」「生きがいづくり」「地域住民」という前述された視点につながっていくことが多く、各事業の共通性を感じながら仕事をしている・・・とのことでした。
今回行政の方々とお話をする機会を得ました、
その中で、「地域の中でどう支えていくのか」、様々な取り組みを行われていることがわかりました。また、その現場と行政の橋渡しが必要ではないか、それが「コーディネーター」であり、私たち企業人であっても地域の中で役割を持っていけること、その活動を示唆されているように感じ、背筋が伸びる思いでした。
2日目は、阪神淡路大震災以降、頻回に見舞われている「災害」の対策について、実際に、今回「西日本豪雨災害」被災された病院・クリニック・老健・行政の立場から報告・情報の共有が行われました。
この災害は、本当にびっくりするような雨の降り方で、福岡市内でも「災害緊急情報」が鳴りっぱなし、北九州でも川が氾濫したり、土砂崩れが起き、しばらくは九州道や北九州都市高速も使えず、とても怖い思いをしたことは、記憶にも新しいことだと思います。
倉敷市の山手に位置する真備町では、病院が孤立し、透析患者さんや入院患者さん、地域の避難されてこられた方300名以上の方が孤立し、数日後自衛隊が救出されている姿は私もニュースで見てよく覚えています。
想像以上に厳しい状況があったことが、ひしひしと伝わりました。被災地ではインフラが壊滅状態にあり、何よりも情報の発信も受け取ることもできないこと、何が起こっているのか何が正しいことなのか、それも分からない状況だったとのことです。
その中で、皆さんが考え行動されたご報告を聴くことで、如何に「日頃の顔の見える関係づくり」が大事なことか、考えさせられました。言葉でいうことはたやすいことですが、果たして、今何かが起こったときに、地域のだれに相談できるか、思い浮かぶ方がどのくらいいらっしゃるでしょうか?
今回発表された方の中にも、インフラが壊滅的な状況になり、一番困ったことは、「情報が錯そうしていたこと」だということでした。今いるところの周囲の状況が把握できないこと、電気が通じなくなり電話・インターネットがつながらなくなることで、孤立してしまうこと。ほんの15分程度で行けるところが、土砂崩れ等で迂回せねばならず1時間以上かかってしまったこと。そのような中でも、行政の保健師・包括センターの職員、病院のソーシャルワーカーさんや相談員はじめ、地域の高齢者等をはじめ全戸訪問をいち早く回られたこと・・・本当にびっくりするような話ばかりで、そのような状況におかれたときに、何ができるのだろうか・・・と考えました。
どうしようもない状況だと思っていても、必ず解決する方法がある、と信じて前に進んでいきたいと思いました。
ご発表くださった皆様にとってはとても思い出したくないことだったと思います。
まだまだ多くの支援が必要な状況は続いているのではないかと思います。そのような中で、経験を語ってくださったお話は心に刺さり、地域の中で仕事を行っているものとして、また「つながりを大事にしたい」と思っている私にも響き、何ができるのか、これからも考えていこうと思っています。
今回、30名を超える方々とお会いして、お話を伺う機会があり、とても貴重な経験となりました。また、来年も参加し、これからも何ができるのか考えていきたいと思います。皆様、ありがとうございました。
これからも連携について考えていきたいし、つながりを大事にしていきたいと思います。ご興味が湧いてきた方は、「全国連携実務者連携ネットワーク」まで!!
ホームページはこちら・・・ http://www.renkei-network.net/
<番外編>
今回、1年ぶりの倉敷で、本当に短い時間でしたが、倉敷の美観地区にも行きました。
医業経営支援課
著者紹介
- 医業経営コンサルティング部 医業コンサル課 シニアコンサルタント
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