社会保障について

市川 隆志

アドバイザリー

ご覧になられた方も多いとは思いますが、4月11日(水)の日本経済新聞朝刊の5面に、いきなり『医療費下げ、地域別に』という見出しが躍っていました。
不思議なのが、この記事は既に開催された会議ではなく、当日に開催される会議での内容である点です。
最近、何かと話題の財務省が当日に財務大臣の諮問機関である財政制度等審議会(財政審)の財政制度分科会を開き、そのテーマが標題であり、93ページにも及ぶ資料を提示し今後の方向性を提言しています。
本年度は、ご存知の通り、診療・介護報酬同時改定の年ですが、厚生労働省というよりは、残念ながら、財務省の意向が色濃く反映された内容ではないかと考えられます。その最中、まだ熱が冷めやらぬ中、皆様の関心がそちらに向いている間にあえて、次の手を講じている感は否めません。
その中でも、特に注目すべきは、以下の2点かと考えられます。
(1)地域別診療報酬(82ページ)
これは、正確には、「高齢者の医療の確保に関する法律」第14条(診療報酬の特例)に、《厚生労働大臣は、(省略)、医療費適正化を推進するために必要があると認めるときは、一の都道府県の区域内における診療報酬について、地域の実情を踏まえつつ、適切な医療を各都道府県間において公平に提供する観点から見て合理的であると認められる範囲内において、他の都道府県の区域内における診療報酬と異なる定めをすることができる》という規定があり、いわゆる【伝家の宝刀】と呼ばれるものです。
具体的には、1点=10円ではなく、1点=9円50銭とすることが可能であり、そうなれば、一気に診療報酬5%ダウンという影響を与えることが出来るのです。想定してみて下さい。恐ろしい話ではないでしょうか。奈良県では、平成36年度完成を目指し、本年4月よりスタートを切っているようです。
(2)受診時定額負担の導入(65ページ)
今回の改定で、許可病床400床以上の地域医療支援病院を、紹介状なしで直接受診した場合には定額負担となる変更を講じたばかりですが、諸外国との比較データを用いて、日本は、韓国に次いで、外来受診回数が多いので、不要な外来受診を抑制する有効策として、受診時定額負担を主張しています。そうすることで、かかりつけ医への誘導も図れるという狙いもあるようです。
このように、様々な施策が検討され、財政面から『国民皆保険制度の維持』実現に向けて、動き出しています。
常に、注視して対策を検討していきたいと存じます。

 

図2

 

経営支援課 マネージャ

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