【医療介護あれこれ】「調剤報酬(その1)」について

長 幸美

アドバイザリー

年度末の3月29日、中医協で「調剤報酬(その1)」「外来医療(その2)」の議論が行われました。今回は「調剤報酬(その1)」について述べたいと思います。

医薬分業は、昭和45年の開始から増え続け、平成27年度には医薬分業率は70%となりました。薬局の処方箋応需の状況も全体の6割以上が門前薬局での処方を受けています。

そのような中で、調剤報酬の適正化が求められ、「患者のための薬局ビジョン」として、「門前」から「かかりつけ」、そして「地域」へというものが掲げられています。

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(出典:中医協資料「調剤報酬(その1)」2017.03.29)

医療のなかでも「かかりつけ医」というキーワードが出てきていました。
そして、調剤報酬では「かかりつけ薬剤師・薬局」の役割が明確になってきました。
健康サポート薬局として「国民の病気の予防や健康のサポートに貢献すること」が求められてきています。昨年は、それを受けて、関東地方では、コンビニエンスストアと薬局の提携などがニュースになって、コンビニやドラッグストアでも簡単な健康診断や相談を受けることができるようになってきました。

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(出典:中医協資料「調剤報酬(その1)」2017.03.29)

昨年の診療報酬改定において、調剤薬局の評価も見直されました。
服薬情報の一元管理については、お薬手帳を一冊にまとめることと「残薬管理」のためにお薬バックを作成し、利用して無駄をなくすなど各地の薬剤師会が活動をされています。

私は両親と暮らしています。80歳を過ぎて、今までできていたことが一つずつできなくなり、お薬を飲み忘れたり、間違えて飲んでしまったり・・・お薬カレンダーを利用して服薬管理を行っていますが、残薬の数が合わなくなったりしています。
高齢者の単独世帯や老々世帯の場合はどのように管理されているのでしょうか?

24時間対応や在宅対応で求められている「開局時間外でも随時電話相談を実施すること」や「残薬管理のための在宅対応にも積極的関与」など、このような高齢者の在宅での服薬をどう支援していくのか、というところが大きな課題になるのではないでしょうか?

しっかりしているようでも、80歳を超えてくると、以前のように的確に判断することは難しくなってきます。イレギュラーなことが起こった場合に、とても不安になるようです。「開局時間外での相談」はこのような不安を解消するためにはとても重要です。

その「かかりつけ薬剤師としての役割」の変化について、次の図がわかりやすく表しています。

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(出典:中医協資料「調剤報酬(その1)」2017.03.29)

医療機関等との連携もとても大事で、調剤後も患者の状態を把握し、処方医へフィードバックすることも大きな役割であると位置づけられています。
このような意味で、対物業務・・・つまり「調剤」「薬中心の業務」から、対人業務・・・つまり「患者中心の業務」へシフトすることが求められています。

このため「かかりつけ薬剤師・薬局」の評価として、「薬剤服用歴管理指導料」の評価が上がりました(41点/34点⇒50点/38点へ)。また、新設の点数で「かかりつけ薬剤指導料(70点)」「かかりつけ薬剤師包括管理料(270点)」が付きました。
平成29年2月では届出が50.7%と保険薬局の半数が届出を行っています。
次期改定では、この算定をしているかどうかがポイントになるとも言われています。

また、基準調剤加算の見直しも行われていて、ずいぶんと基準が厳しくなっていました。
週45時間以上の開局、1200品目以上の備蓄、近隣の保険薬局との連携・・・などが要件となっています。詳細は次の表のとおりです。

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(出典:中医協資料「調剤報酬(その1)」2017.03.29)

また、訪問薬剤指導を行う薬局数も年々増加し、16,000か所を超えてきました。
在宅患者訪問薬剤管理指導の実施状況も増え、在宅における薬学管理は進んでいると考えられています。対人業務としての薬学管理及び指導についても、見直しが進められています。

薬剤の重複投薬や相互作用等を見直した場合の管理料や6剤以上の投薬がある場合に処方の見直しをして2剤以上減らした場合に算定できる加算も医療へついてきました。

これから、薬剤師の役割もどんどん変化してきそうですね。調剤薬局の方だけではなく、医療機関も、介護事業所・・・特にケアマネージャー、訪問看護師にとっても大きな変化になりそうですね。注目していきましょう!

次回は、「外来医療(その2)」について述べたいと思います。

<参考資料>
「調剤報酬(その1)」・・・中医協資料(2017.03.29)

経営支援課

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